今月の症例の解答   第4回

A:輪状体(ring form)        B:分裂体 

答え:マラリア原虫

血液像の読影ポイント
・熱帯熱マラリア:感染赤血球は大きくないが、時に大型で少数のMaurer
             斑点を認める。 生殖母体の特有の半月状。

・三日熱マラリア:感染赤血球は他の赤血球より大型である。
           赤血球膜に多数の赤い小さなSchuffner斑点を認める。

・他には四日熱マラリアや卵形マラリアがある。

                        参考資料:東京大学感染内科HP


マラリアは主に熱帯地域で流行する疾患として知られていますが、
日本でも輸入感染症の一つとして重要な位置を占めています。 
マラリアの三大主微は特有の熱発作、貧血、脾腫であり、治療が
遅れると重症化するものもある為に、早めの診断、治療が必要です。 
マラリアを疑う時は患者が発熱している時に血液の薄層標本を作製し、
ギムザ染色で患者の血液内にマラリア原虫を確認することで診断します。

標本作製のポイント
・ギムザ染色で使用するbufferはPH7.4〜7.6にする。 PH7.4〜7.6を
 用いると赤血球が青みがかるが、マラリア原虫の原形質やSchuffner
 斑点などが鮮明に染まり、マラリア原虫の検出、鑑別が容易になる。

・原虫が少ない場合には厚層塗抹をするとすばやく原虫を発見できる
 事もある。 (種別同定には向かない)

帝京大学溝口病院 中央検査部   鈴木 道子 
                       星 香里
                       加藤 貴子