病理技術者のためのメーリングリスト

ダイジェスト版

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成14年9月

 

編集責任 神奈川県臨床衛生検査技師会 病理研究班メーリングリスト管理グループ

 

 

 

目   次

質問 神奈川県臨床衛生検査技師会精度管理について この場を借りて、先日の精度管理の結果について、少し教えて頂きたいのですが・・・。まず、ヘマトキシリンでギルを使用していた施設についてなんですが、細胞診ではよく聞くのですが、組織で使用しても問題ないものなのでしょうか。それから、エオジンについてはフロキシン等を入れている施設はどのくらいあったのでしょうか。当院では、フロキシンは入れていませんが、あの赤味に魅力を感じ使ってみたい衝動を押さえきれません。よろしくお願いいたします。.. 4

疑問 シリウスレッド 日ごろから、染色技術の向上、向上とやっきになっている私たちですが、実際のルーチンにおいてどの程度の染色精度が必要なのか疑問に感じてなりません。例えば、EVGでシリウスレッドを使用しても、酸フクシンと微妙な差しか感じられません。決して否定をしているわけではなく、なんとなく疑問を感じています。.. 4

質問 私の持っている資料では、シリウスレッドを使用する染色(Sweetらの変法)は1964年に発表されています。なぜ、今ごろフツフツと顔を出してきたのでしょうか。その良さが再認識されはじめたのでしょうか。.. 5

質問 シリウスレッドはその点多少多くてもかぶりが少なく、調整が容易な点が染色強度以上に有用なところかと思います。その通りと思います。たしか、その精度管理のときに酸フクシンとシリウスを混ぜて使用したものがあったと記憶しています。その染色はいかがでしたでしょうか。いつも質問ばかりで申し訳ありません。  5

質問 普段、病理の仕事をしていてヘマトキシリンは何故染まるのか明確な答えがみつかりません。それは、薄切切片を染める組織標本は核蛋白が染色液に露出しているので染まるのは当然なのですが、細胞診のように核が細胞質膜で覆われている場合に、どうやって色素は入っていくのでしょうか。.. 5

質問 最近エオジン染色液を作成していたときに気になったので、ご存じの方教えていただけたら光栄です。エオジンYを水に溶かしてから、(我が施設も、フロキシンを入れています。)塩酸を入れ色素を沈殿させたとき、液面に膜が張っているように見えました。この物質について、何かご存じの方お返事下さい。.. 5

質問 カルミン色素について、昆虫から抽出された物とききましたが、そのことについて書いてある書物などありましたら教えて下さい。.. 6

質問 マッソン・トリクローム染色について質問があります.当施設の染色も,結合組織および免疫蛋白複合体を目的とした特殊染色としては,特に問題はないと思っているのですが,核が黒褐色に染まらず,赤味を帯びてしまいます.一応,2倍のワイゲルト鉄ヘマトキシリンを用いているのですが,なかなか安定しません.どなたか,よい方法・コツなどをご存じでしたら教えて下さい.宜しくお願いします... 6

質問 今回お聞きしたいのは、ビクトリア青・HE(VB・HE)の核染色についてです。日常、癌の脈管侵襲像を見るために実施していますが、後染色のHEのヘマトキシリンの染まりがかなり低下します。皆さんの施設では、きれいなHEの色を出すために何か工夫はしていらっしゃいますか?それと、なぜ染色性が低下するのかご存知でしたら教えていただきたいのですが・・・。ちなみに当院では、ヘマトキシリン、エオシンは市販品を使用しています。(武○のGMヘマトキシリンとピュア・エオシンです)質問ばかりになってしまうと思いますが、よろしくお願いします。.. 7

質問 某氏から「ホルツアー染色がうまくいかない」という電話がありました。私は、ホルツァー染色を行ったことがないので、対応できません。どなたか、染色のコツを伝授してもらえませんでしょうか。症状としては、色が落ちないらしいです。曖昧で申し訳ありません。.. 8

質問 本日は、皆様に聞きたいことがあります。乳腺等の癌浸潤の断端判定に用いるインクはどのメーカーをご使用でしょうか。当院では、パイロットの黒を使用していて、黒に関しては比較的HE染色で残るのですが、それ以外の色はあまりよく残りません。また、黒に関しても以前PARKER社のものを使用したら、ほとんど残らず困ってしまい、会社によってこんなに違いがあるものかと驚いてしまいました。ご使用のインク名および製造会社名をお知らせ願えませんでしょうか。よろしくおねがいします。.. 8

質問 今、実習生が来ているのですが、グロコット染色の酸化で「無水クロム酸」を使用する方法と「重クロム酸+塩酸(だったと思うんですが・・)」を使う方法の違いは?と聞かれました。私も以前から気になっているので、どなたか教えていただけませんでしょうか?よろしくお願いいたします。.. 8

質問 今日、先生にヘリコバクターの染色でAlcian Yellow and Toluidine Blue (AYTB)染色はできますか?と聞かれました。わたくしは知りませんでした。どなたか御存じの方は教えて下さい。.. 10

質問 廃液とかどうしてます!?うちは,有機溶媒,無機質&染色液系,どくろマーク(毒・劇薬)のやばい試薬系に分けて,溜まったら,廃液業者に持っていってもらうようにしてるんですけど…最近,試薬の管理・廃液などが非常に厳しくなってきてるので…。何気なく使ってたら,小さな英語でチロメサール(水銀化合物)含有とか書いてあるのに突然気づいて,ひやーっとしたりして…。また,染色に使った液をひとまとめにして捨てるのも問題があるなーと思ってて…試薬同士が反応して爆発しちゃっても困るし…厳密には,各試薬の処理方法があって,本当はその通りに処理しなければならないんでしょうけど…。実際問題としては厳しくないですかー?何かいい,ふるい分け&処理方法,あるいは基準みたいなものをご存じでしたら教えて下さい... 11

質問 HPつながりでヘリコバクターの免疫染色について質問させて下さい。プロテイナーゼ(○○)10分, 3%過酸化水素メタノール 10分, HP抗体(○○)          60分(37℃),○○○○○○SAB-PO(MULTI),を使用して染色しています。染色結果は良好です。ところが○○○○○○MAX-PO(MULTI)を使用すると染色性がかなり落ちます。他の施設ではいかがでしょうか.... 11

質問 昨日解剖を行っていたところ、ストライカーの歯の不調にみまわれました。当院では昔ながらのストライカーを使用しています。でも、あまり作業性がよくありません。なにか良いもの(ストライカーに代わる)はないでしょうか。例えば、充電式の工具でコードレスであるとか、軽量であるとか、骨粉が舞わない等、情報がありましたらお知らせ下さい。.. 12

質問 最近は煩雑に都合よくローテーションが行われるようになりました。これも時代の流れというものなのでしょうか。.. 12

質問 皆さんの職場では,検体受付の台帳とかは,どうされていますか?まだ,手書きですか?それともデータベース系のソフトなどを使って電子化されていますか?電子化されいてるとしたら,セキュリティとバックアップの関係とかは,どうされていますか?当院の病院病理科では,1年半ほど前より,ファイ○メーカーProを用いて,自作のデータ管理ソフトを作成し,今は,検体受付〜結果報告まで一応デジタル化されています(ただし,報告書は相変わらず紙の印刷物です)病理のデジタル化は,かなり前から,いろいろなところで,報告・討論がなされているとは思いますが…。管理面(セキュリティとバックアップの関係など)が常に問題になるところだと思うのですが?.... 13

質問 免疫染色の手技でアドバイスください.cyclin D1の染色で、バック(細胞質)のうす褐色がスキットぬけてくれません.ニ○レイの希釈済み抗体を使っていますが、それを2倍、5倍と更に希釈して・・。 少しスッキリしてきたのですが・・とりあえず10倍とかそれ以上?もやってみるか! くらいしか思いつかないでおります. 試薬は、ENVISI○○“D○○O”、MAX-PO(MULT)“ニ○レイ”で、バックのぬけに関して差はないようです... 13

質問 今度の県学会にて,ご発表予定の演題抄録を拝読させて頂きました.“ホルマリン液に緩衝剤等の成分を混合するとアルデヒド成分の減少をきたす。”と,まとめていらっしゃいますが,緩衝ホルマリン固定の最低・最適固定時間はどれくらいだとお考えですか?.... 14

質問 1.銀染色で使用する鉄みょうばんを溶かすと白い沈殿物がみられます。  これはいったい何なのでしょうか。2.また、新染色法のすべてでは鉄みょうばんは10%濃度を作製し、使用時に1容 10%鉄みょうばん9容 蒸留水で使用と書いてあるが、これは10%濃度のものを作製して保存ということで良いのでしょうか。  16

質問 「骨髄顆粒球系細胞のためのDFS染色法」の原理をご存知でしょうか?今度の休みに文献を読みに行こうと思っているのですが、ペルオキシダーゼ染色の代用にはなりませんか?もしご存知でしたら、教えて下さい!.... 17

質問 先日いろいろありましてシッフ試薬を自作してみることになりました。でも、どうしても紫色が消えません。市販のように無色になりません。教科書通りに作ってはいるのですが、どうしても透明になりません。一体これは何故なのでしょうか。塩基性フクシンはニューフクシンとパラローズアニリンの両方別に作ってみました。活性炭をいれてもダメでした。ぜひアドバイスを・・・(;_;) 17

質問 わたくしの経験ではございませんが、武○のコールドシッフで室温にしばらく置いていたら白濁してしまったそうです。わたくしもそんな事をはじめて聞くものですから、変なもの入れた?と聞いたところ「いれてないっす」とかえってきたので、たぶん変なものは入っていないと思います。これってなに?(@_@)?こんな経験ありますか?.... 18

質問 皆さん,免疫染色(酵素抗体法)の陽性コントロールとか,どうしています?免疫染色やって,これはいい標本だとか,これは珍しいとかで,いっぱいパラフィン切片を切って,未染のままとっておいても,暫くすると染まらなくなっちゃう(?.?)(特に表面マーカーなど)って経験ありませんかー… 全てのマーカーがダメってわけじゃーないんですけど…どうして染まらなくなっちゃうんでしょうか?噂では,風化しちゃう?とか,変性しちゃう?とか聞くんですが…本当のところはどうなんでしょうか?もしかしたら,周知の事実で,理論(原因)とかも分かっているのかも知れませんが,僕は何故なのかよく知りません.なんで,ブロックでとっとけば大丈夫なのに,切片にするとダメになっちゃうの!?.... 19

質問 皆さん、顕微鏡の写真とかどうされています?まだ、35mmフィルムですか?当院では、2〜3年前から、FUJIのHC2500という顕微鏡撮影用デジタルカメラとピクトログラフィーという印画紙にデジタル出力するプリンタを導入したので、フィルムで撮影することが少なくなって来ました。でも、こんなに高価(約4〜500万円)なものを導入しなくても、市販のデジカメでも顕微鏡の写真が撮れるってことは、数年前からいわれてますよねー…そこで、僕も市販のデジカメ(SONY DSC-P5)で、撮影してみました。マクロ撮影モード、テレ側で撮影したら、結構いけます。ちょっと、コントラストが低い気もするけど、コンデンサーやフォトショップなどで調整すれば、大丈夫だと思います。皆さんもよかったら試してみてねー(^.^)V.. 19

質問 「新染色法のすべて」p136 図2(PAS反応)の表記は間違っていますね。このglucose及びglucosamineでは過ヨウ素酸処理で分断されるC-C結合の特定ができませんね。この場合ピラノースの1,4炭素につくのは-OHでなく-O-でなければならないと思います。私はこの表記をみてなぜ2,3炭素が分断されるのか全くわからなくなってしまいました。大きな意味では間違ってはいないのですが、狭い意味では間違っています。この間違いに気づくのに何冊の本を読んだことか・・・。.. 20

質問 包埋の過程で(自動包埋装置のどこの過程かはわからない、)組織を乾燥させてしまったけど何か助ける方法はないかと電話がありました。とりあえず水まで戻して再包埋してみようかなとのことでした。”ちょっと致命的で救いようがないと思うよ”とやさしくアドバイスをしておきましたが、どなたか良い知恵お持ちではないでしょうか。2-3日後に結果を出さなければいけないので急いでいるそうです。.. 20

 


 

 

 


質問 神奈川県臨床衛生検査技師会精度管理について この場を借りて、先日の精度管理の結果について、少し教えて頂きたいのですが・・・。まず、ヘマトキシリンでギルを使用していた施設についてなんですが、細胞診ではよく聞くのですが、組織で使用しても問題ないものなのでしょうか。それから、エオジンについてはフロキシン等を入れている施設はどのくらいあったのでしょうか。当院では、フロキシンは入れていませんが、あの赤味に魅力を感じ使ってみたい衝動を押さえきれません。よろしくお願いいたします。

返信 ●自分のところで使ったことはないので詳細はわかりませんが、No.1は細胞診に、No. 2,3,5は組織用に使われているようです。今回ギルは4施設で使用されていました。鏡検した感じ、際だった違いは色合いなどを含めてあまり無かったように思えます。ただ核膜の染色性が多少良くないのか、切れが悪い感じがしました。●フロキシン使用は2施設でした。あとエリスロシン使用が1施設です。確かに赤味は強い感じですね。しかし今回は両施設ともエオジンが過染気味で核に共染しているのでB判定でした。理屈の上ではキサンテン系色素はエオジンと官能基はほぼ同じだけど、分子量が異なるので両方合わせると多彩な染色性を発揮するということですが、過染してしまっては何の意味もなさなくなりますね。今回の精度管理の状況を見るに、約半数の施設でエオジンもしくはヘマトキシリンによる共染が見られました。ヘマトキシリンやエオジンに何を使ったかより、とにかく分別をしっかり行うことの方が重要であると言えると思います。

返信 Gillのヘマトキシリンを使用しても問題ないということですね。基本的にヘマチンとアルミニウムの複合物が主体の染色液ですからね。酢酸なんか使っているので、エオジンのノリなんかは逆に良いかもしれませんね。私も試したわけではないので予想のもとに発言しますと、フロキシンについてはエオジンにClがいくつか付いた物質であったと思います。また、フロキシンについてはエオジンのBrの部分がヨウ素に変ったものだと認識しています。たしか、どちらも分子量がエオジンより大きいですね。単に塩素が付加されたり、ヨウ素に置換されていたりしているだけのようですが、これによって蛋白質への吸着力は違ってくると思われます。これらの色素は、例えば太い膠原線維によく吸着する等の特徴はないのでしょうか。まぁ、実際に使用している施設でないと解かりづらいかもしれませんね。基本的にヘマトキシリンの色調は青〜藍色で、それにエオジンの赤が乗って紫色にみえるという染色ですから、もともと共染していると考えても良いわけですね。要するにバランスの問題なのでしょうね。エオジンは、赤インクの原料として開発されて、エオジンが登場する前までは、顔料系の赤インクが主体でした。開発者の氏名や会社名は忘れましたが、テュポンだったかどうか・・・定かでありません。当時としては有機材料で赤色を呈するものは存在しなかったので、HE染色にエオジンを使ったということは非常に最先端の色素を使用した可能性が高いと思います。思いおこせば、私が小学生のころに、テストの採点に使用する赤ペンが朱赤色蛍光を発していたことを思い出しました。ちなみに、分別に関しては、やはり塩酸または塩酸アルコールを使用している施設が多いと思いますが、他の物質を使用している施設はなかったのでしょうか。

返信 MERCKのカタログだと Gill No2,No3 とも組織.細胞診両用となっています。No3の方のコメントには”角野染まりが最も濃く、迅速染色が可能”と書いてあります。さらにPapanicolau用としてハリスのヘマトキシリンがありますが、これが水銀フリーとなっています。なにか水銀もどきの重金属が代わりに入っているのでしょうかね。WakoではNo1は細胞診検査用、No2は病理検査(パラフィン)用No3は術中組織検査(クリオスタット)用として用途説明してありますね。ちょっと気分を変えてGillを試してみても良いかも。●私の不手際でHEの調査報告書の記載で分別の項をもうけるのを忘れてしまったので未記載だったり、付け加えて書いてあったりで正しくデーターが集められていないため詳細は不明です。来年以降の課題にして下さい。

返信 エオジンについて。エオジンは分類上Xanthene系bromofluoresceinsグループに属しEOSIN, ETHYL EOSIN, EOSIN B.MBX(FAIT),Phloxine or Phloxine Bなどが含まれています。ERYTHROSIN BはIndofluoresceinsに分類されています。詳細はEOSIN: C20H6O5Br4Na2, C.I. Acid Red 87, mol. wt. 691.863, ETHYL EOSIN: C22H11O5Br4Na, C.I. Solvent Red 45, mol. wt. 697.963, EOSIN B.MBX(FAIT); C20H6N2O9Br2Na2, C.I. Acid Red 91, mol. wt. 624.066, Phloxine; C20H4O5Br4Cl2Na2, C. I. Acid Red 98, mol. wt. 760.753, Phloxine B; C20H2O5Br4Cl4Na2, C. I. Acid Red 92, mol. wt. 829.644, ERYTHROSIN (Y); C20H8O5I2Na2, C.I. Acid red 95, mol. wt. 628.072, ERYTHROSIN B; C20H6O5I4Na2, C.I. Acid Red 51, mol. wt. 879.865, Absorption maximam (nm): EISON: 515-518, ETHYL EOSIN: 524-527, EOSIN B.MBX(FAIT); 516-519, Phloxine; about 535.7,497.1, Phloxine B; 546-548 ERYTHROSIN (Y); 510.5, ERYTHROSIN B; 524-527, です。(H.J. Conn's BIOLOGICAL STAINS参照) 面白かったのが、昔の赤チンに使われていたマーキュロクロム(実際にこれかどうかは忘れました)が、エオジンの構造に非常によく似ている点です。エオジンにBr,Hgをつけただけで基本構造は変りません。殺菌作用はHgによって生じるのかな?蛇足ですが、とりあえず・・・。

返信 返事が遅れてすみません。当施設のエオジンの調整法は次の通りです。1)Eosin Y5g 蒸留水1000ml塩酸10mlEosinを蒸留水に完全に溶解してから塩酸を加える。上記を混合し、一夜放置する。2)上記の液をろ過し、そのろ紙に残っている沈殿物を蒸留水にて約3日ほど洗浄する。(毎日夕方になると漏斗にふたをしておき翌朝水洗を開始する)3)3日目に水をきり、ろ紙上の沈殿物を半乾き状にする。(乾燥させ保存させることも可能)4)上記のろ紙ごと沈殿物を1000mlの無水アルコールを入れたフラスコに入れよく溶かす。5)上記の液を使用時に4倍にうすめ、ろ過して使用する。以上が作製ほうです。あまり説明がよくなくてすみません。また、実際にわからなかったらきいてください。ちなみに染色時間は3分でじゅうぶんに染まってきます。赤血球や膠原線維がかなりハデなピンク色になるので、はじめはきついかもしれません。

返信 重金属 あやしいですね。いったい何が入っているのでしょうか。水銀に近い金属っていうと・・・。亜鉛あたりかな・・・。でも亜鉛は硫黄に親和性があったっけなぁ・・・。後ほど調べてみます。化学大辞典なんかでしらべてみると、水銀は生体内ではSH基なんかと親和性が高いそうです。生体内でSH基をもつものというとアミノ酸ではシステインしかなかったと思います。細胞膜を構成する球状蛋白質に含まれるシステインに対して反応して核膜がそまるのですね。ハリスのヘマトキシリンのHE標本で実際には見たことないのでなんともいえませんが、細胞標本では、なんとなく色素粒子が細かくてやわらかいというか砂のようなクロマチンの染色性だったと記憶しています。水銀とヘマチンの結合は恐らく配位結合か主ではないかと思われるのですが、銀などのような直線型の結合だとすると、配位子として結合するヘマチンは二つつくことになります。その結果発色基団の数がアルミニウムなんかと比べて少ないので微細性が認められるのでしょう。

疑問 シリウスレッド 日ごろから、染色技術の向上、向上とやっきになっている私たちですが、実際のルーチンにおいてどの程度の染色精度が必要なのか疑問に感じてなりません。例えば、EVGでシリウスレッドを使用しても、酸フクシンと微妙な差しか感じられません。決して否定をしているわけではなく、なんとなく疑問を感じています。

返信 当施設も病理研究班勉強会(EVGのサーベイ)以来、シリウスレッドを入れて使用しています。当施設ではシリウスレッドを入れたのと入れないのでは、赤色の鮮やかさが明らかに違います。しかも、先生にも好評です。先日話があったエオジンもフロキシンをいれています。

返信 シリウスレッドですが、病理研究班勉強会の時には17施設中2施設の使用で両方ともA(酸フクシン使用施設は全てB)でした。昨年の県精度管理調査では37施設中2施設がシリウスレッド単独使用、5施設が酸フクシンとの混合使用でした。7施設中1施設がB評価であった以外は全てA評価でした。A評価は全部で9施設だったのでシリウスレッド使用施設の評価が極めて高いのが特徴的でした。染色がうまい施設がシリウスレッドを使用しているのかシリウスレッドを使うと良くなるのかという疑問があるかと思いますが、病理研究班勉強会の時に酸フクシン派であったのが県精度管理調査時にはシリウスレッドに乗り換えた施設が5施設ありましたが、その内4施設でB評価からA評価に変わっています。これはそれなりに意味のあることかと思います。シリウスレッドは赤色の鮮明さが特徴ですが、許容範囲の広さも特徴かと思います。酸フクシンはピクリン酸との混合比が微妙で少しでも少ないと赤味が足りなくなり、少しでも多いと赤がかぶってしまいます。シリウスレッドはその点多少多くてもかぶりが少なく、調整が容易な点が染色強度以上に有用なところかと思います。EVGの染色はほとんどこのワンギーソンの調整にかかっているといっても過言ではないので、そこの微調整が簡単な方が精度管理をしていく上では肝要かと思います。

返信 私も、実際に試用してみました。病理技師的には大満足なのですが、教科書的には今だにワンギーソンは酸フクシンだし、HEはエオジンのみだったような気がします。最新の教科書はちょっと調べてはないのですが・・・。つまり、何が基準になるのかがよく解からないのです。染まればそれで良いのでしょうか。私もフロキシンに関しては入れたほうが良いように思います。単一分子を使用するよりは、様々な分子量のものが入っていたほうが情報量が多いような気がします。EVGにおいてもシリウスレッド(sirius red F3B C.I.Direct Red 80 M.W. ?)は酸フクシンより明らかに重い(分子量がわからないので構造式をみる限り)分子です。発色が強くなるために細い膠原線維などに吸着したときに赤が強調されると思われます。もちろんabsの違いはありますが・・・。つまり・・・。膠原線維を染める染色ならば、膠原線維を染めることが目的でそれが染まる近縁色素を使って、より膠原線維が強調されるのであれば、良いことだと思うんです。でも、基準というか・・・。そういうものが、邪魔をしてそういう物に踏み切れない私です。蛇足です 普段、地域の精度管理をしていて思うのですが、化学系の精度管理には基準となる標準液なるものが存在し、相対的な評価から絶対的な評価に移行しつつあります。細菌などの場合には、自家製の培地を使用してその培地に菌がはえなければ病原菌なしということになります。しかしながら、市販の培地を使用すると実際には菌が発育してくるなんていう事態がママ存在します。外部精度管理を行っていない施設では、生えなくて、結果陰性。でも市販培地を使えば本当は生える。そんなことが実際には起きています。つまり、その自家製培地の品質保証は外部精度管理を行っていない施設では保証されないことになります。同様に、病理の場合に自家製の染色液の品質保証というのは外部精度管理を行う以外ありえないと思っています。幸いなことに病理の場合にはある程度の品質が保てない染色液は目的物が染まらないので、おかしいことに気づきます。が、評価ができない技師が行えば細菌の事例と同様の事態が起こり得ます。研究班で続けている精度管理や日臨技が行っている外部精度管理は、その施設のクオリティの評価であり、その重要性をヒシヒシと感じている私です。

質問 私の持っている資料では、シリウスレッドを使用する染色(Sweetらの変法)は1964年に発表されています。なぜ、今ごろフツフツと顔を出してきたのでしょうか。その良さが再認識されはじめたのでしょうか。

返信 ●やっぱり研修会などの成果でしょう。随分前から学会、研修会などでちらちら報告はありましたが、そのレベルでとどまっていたのですかね。ただ武○化学から市販品が発売されていることから、今までもそれなりの需要はあったのではないでしょうか。

質問 シリウスレッドはその点多少多くてもかぶりが少なく、調整が容易な点が染色強度以上に有用なところかと思います。その通りと思います。たしか、その精度管理のときに酸フクシンとシリウスを混ぜて使用したものがあったと記憶しています。その染色はいかがでしたでしょうか。いつも質問ばかりで申し訳ありません。

返信 ●シリウスレッド単独が2施設に、混合が5施設です。 ○○ など身内施設がずらりですね。単独使用と混合使用で格段に違いは無かったように思います。ただ単独使用の方が色合いがやや蛍光オレンジ色がかったような感じですね。個人的には赤が浮いて見える単独使用の方が好きですね。

質問 普段、病理の仕事をしていてヘマトキシリンは何故染まるのか明確な答えがみつかりません。それは、薄切切片を染める組織標本は核蛋白が染色液に露出しているので染まるのは当然なのですが、細胞診のように核が細胞質膜で覆われている場合に、どうやって色素は入っていくのでしょうか。

返信 ●血液で使うニューメチレンブルーの様に生細胞でも容易に細胞膜を通過し染色する色素がありますが、大部分の色素は生細胞では染色されません。細胞が死んで選択的透過性が失われると、細胞内に侵入していきます。さらにアルコールやホルマリンで固定することにより、膜の一部分が壊れたり膜貫通タンパクなどが変形してより入りやすくなります。界面活性剤を用いると膜貫通タンパクが可溶化して未固定でもかなり通りやすくなります。

返信 いわゆる戻し電顕の像をみると一目瞭然ですね。細胞膜を構成する親水疎水性を有する極性脂質の二分子膜と膜蛋白といわれるかなり大きな蛋白質から構成されています。よく教科書に載っているSinger, Nicolsonの流動モザイクモデルは超有名です。生体内(物理化学的な影響を受ける前)ではこの膜構造が破壊されていないために色素分子が細胞内に入り込むことができません。しかしながら、ホルマリン液、アルコールまたは水などの物質にふれると、この膜構造が保てなくなります。おそらく、細胞膜蛋白よりも脂質二分子膜の方が弱いと思われ、細胞膜蛋白質周囲にそれらがへばり付く様子が想像されます。ホルマリン等にさらされた後の細胞膜は、膜というよりも網に近い構造になっているものと考えられます。その網の目は、色素分子よりもかなり大きく、色素は細胞内外を自由に通過できると考えられます。では核のみが何故染まるのでしょう。ここには、核膜の構造に秘密があります。核膜は密度の高い構造体からなり、それは、高密度のために水等に対して比較的安定なのではないかと考えられます。尿中の細胞は細胞質が破壊され、後に核の破壊がおこります。これは、このことを裏付ける証拠になるのではないかと考えられます。と難しく書きましたが、イメージとしては、膜を染めるというよりはネット(網)を染めているという概念のほうがより近いのではないかと思われます。もしも非常に目の細かい網濃い像だとしたならば、細胞質内にヘマトキシリンが留まっているような細胞があってもおかしくありませんね。界面活性剤を用いると膜貫通タンパクが可溶化して未固定でもかなり通りやすくなることは、界面活性剤によって、極性脂質の疎水部が親水化してしまうためにおこるものと思われ、脂質二分子膜の破壊を引き起こしているものと考えられます。私たちが普段染色しているものは、膜ではなく、膜が崩壊した残さ物に対して色素をつけていると考えたほうが理屈に合うと思われます。

質問 最近エオジン染色液を作成していたときに気になったので、ご存じの方教えていただけたら光栄です。エオジンYを水に溶かしてから、(我が施設も、フロキシンを入れています。)塩酸を入れ色素を沈殿させたとき、液面に膜が張っているように見えました。この物質について、何かご存じの方お返事下さい。

返信 ●表面がギトギトしてくるやつですかね。確かにたまに見ますね。いつも気にしないで使ってます。(笑)エオジンYには臭素数の少ない不純物やフルオレッセインが混入していて、塩酸を入れることでそれらが反応して出てきます。臭素数の少ない不純物が沈殿して、フルオレッセインの様な蛍光色素が表面に浮くのかと思います。お日様(紫外線)にさらすとそういった蛍光色素が除かれます。また加える塩酸の量が多すぎるのかもしれません。武○化学からピュアエオジンというあらかじめ不純物を除いたエオジンが販売されていますのでそれを使うと良いかもしれません。

返信 ちょっと時間をかけて調べないと解からないのですが、製造過程に生じる不純物だと考えられます。それが何かというといろいろ問題が生じますが・・・。ちなみに、そのエオジンはメルク社の製品でしょうか。ご存知のように色素は製造する会社により、その製造工程が異なります。抽出作業で生じる有機性の溶媒か反応しきれなかったベンゼン類なのかちょっとよくわかりません。事実から検証してみると、まず水より軽い物質である。色はたしか薄いピンク・オレンジだったように記憶しています。一般的に色素というもは、純度があまりよくないものが多いようです。(だから特級とか一級がない?) 不純物も含めて色素と考えても良いかもしれませんね。

質問 カルミン色素について、昆虫から抽出された物とききましたが、そのことについて書いてある書物などありましたら教えて下さい。

返信 カルミンはコチニールとも呼ばれ、中央アメリカおよび南アメリカの砂漠地帯に繁るサボテン(opuntia)類に寄生するエンジムシの一種coccus cacticoccinelifera L.の雌に含まれる紅色の色素から得られました。通常熱湯によるエンジムシの抽出物を明礬によって沈殿させたものがカルミンであって、その組成はカルミン酸(carminic acid C22H20O13)とアルミニウム、カルシウム、蛋白質などの結合からなっています。従って、色素の性状には試薬の作り方によって、かなりの差異がでてきます。"carmin nacarate"と呼ばれた、乾燥した容易に粉状にくだける軽い色素は、最高級品として組織学上で好んで用いられたようです。また、カルミンを初めて動物組織の染色に応用したのはCorti(1851)で細胞核の染色に用いられました。しかし、植物細胞についてはGoeppert u. Cohn(1849)がすでにカルミンを利用していたんですね。その後カルミンは、ベストのカルミン、ムチカルミンなど数多く利用されたんですが、悲しいかな今日では人工的色素、例えばアゾカルミン、ケルンエヒト赤、酸アリザリン青などによって代用されその利用価値は著しく低下しちゃったと本に書いてありました。以前にも書いたんですが・・・。エオジンの歴史については、私も大学の授業で講師の先生から少し聞いた程度なのですが、エオジンは、赤インクの原料として開発されてたと聞いております。エオジンが登場する前までは、顔料系の赤インク(無機化合物)が主体でした。開発者の氏名や会社名は忘れましたが、テュポンだったかどうか・・・定かでありません。当時としては有機材料で赤色を呈するものは存在しなかったので、有機合成により得られたエオジンは当時としては最先端の色素だったのでしょう。そして、HE染色にエオジンを使ったということは非常に最先端の色素を使用した可能性が高いと思います。ちなみに、インクに使われている色素でもう一つ有名な色素があります。それはフェロシアン化カリウムを使ったベルリン青色素です。鉄を中心としたこの色素は非常に安定で、紫外線などの光化学反応に対しても非常に強い性質があります。永久に残す書物やサインには好んで使用されていたようです。よく○○条約などの条約書に万年筆で首相がサインしていますよね。このインクには、その色保持性からベルリン青が使用されているようです。そして、このフェロシアン化カリウムですが、化学構造が非常に複雑で構造式や模式図は描けないと言われています。世の中には、解かっているようで解かっていないものって結構多いんですよね。蛇足ですが、光化学分解に対してもっと耐性が高いのは、コバルト錯体の化合物です。その性質から東海道新幹線のボディーの青色には、これが使われています。日本が誇る最先端技術の結晶である新幹線には、やはりボティーカラーにも最高のものが使われているんですね。雑学のようなことばかりで申し訳ありません。エオジンの合成方法や不純物の組成、ならびにエオジン誕生の歴史には非常に興味があります。教科書にもあまり触れられていませんね。是非とも、この件は追跡調査としてお時間をいただきたいです。いろいろな情報網から調査してみたいので、お願いします。また、調査レポートは随時このメーリングリストにアップします。

返信 以前この会で「エオシンの由来については不明確である、追跡項目とさせてください」との記載を思い出し読み進めていくと・・・・。1871年Baeyerがピロガロールからフルオレシンを合成した。そのフルオレシンから合成されたものがエオシンAであるという記載がありました。やはり、エオシンは合成色素だったんですね。フルオレシンからエオシン合成についての詳しい記載はありませんでしたが、その本には塩基性フクシンの合成方法やその他の色素の合成方法が記載されていました。まあ、\200で購入した本にしては、私にとって楽しい内容のものでした。ちなみに本の名はTITLE: TEXTBOOK OF ORGANIC CHEMISTRY 1951, EDIT: FIESER & FIESER (夫婦での著書のようです)MARUZEN CO., LTD

質問 マッソン・トリクローム染色について質問があります.当施設の染色も,結合組織および免疫蛋白複合体を目的とした特殊染色としては,特に問題はないと思っているのですが,核が黒褐色に染まらず,赤味を帯びてしまいます.一応,2倍のワイゲルト鉄ヘマトキシリンを用いているのですが,なかなか安定しません.どなたか,よい方法・コツなどをご存じでしたら教えて下さい.宜しくお願いします.

返信 第二媒染(リンタングステン酸+リンモリブテン酸)の時間が短いと核が赤くなる様ですね。時間が長くなるとアニリン青の染色性が落ちるということですが、アニリン青はどちらかというと早く染まって止めるポイントが難しいので、第二媒染の時間を延ばすことでそれがやや止めやすくなり一期両得かな。大体の本には1分を超えないようにと書いてあるが、1-2分くらいは平気だったような気がします。(保証なし)

返信 おそらく、気合が足りないんじゃないかと予想されます。おおおおりゃぁぁぁぁぁ!!!こんな感じです。

返信 いわゆる第2媒染剤(リンタングステン酸,リンモリブデン酸)の役目を考察してみたいと思います。リンタングステン酸はタングステンを含む大きな陰イオン(-)性錯体であり、同じ負の(-)アニリン青のような酸性色素と同じ化学的挙動を示すといわれています。経験的なことから膠原線維などの蛋白質との結合性はリンタングステン酸 < アニリン青ということが推察されます。今回の核の赤染を考察する上で、このことが非常に重要であると思われます。リンタングステン酸やリンモリブデン酸を使用する理由としては、これらの物質を使うことで赤色色素をある種の蛋白質と結合させない作用が生じます。つまり、強い電気力をもったリンタングステン酸およびリンモリブデン酸が、赤色色素と蛋白質との結合を邪魔して居座り、その部分には赤色色素が結合できない状態にすることです。また、ある種の蛋白質とは、アミノ基[-NH2]を有するリジンやアルギニンなどのアミノ酸を多く含む蛋白質のことです。核内の赤色着色はポンソや酸フクシンなどが核内にあるこれらのアミノ酸と結合し赤く見えるものと思われます。一方、核を染めるヘマトキシリンは基本的に硫酸基[-SO4(-)],リン酸基[=PO4(-)],カルボキシル基[-COO(-)]などと結合するので、赤色色素とは違うアミノ酸および蛋白質に着色します。つまり、リンタングステン酸やリンモリブデン酸を使用ない場合には、両方の色素が吸着してしまい、赤色色素が目立つという結果になります。次に、ヘマトキシリンと赤色色素の大きさを比較してみましょう。ヘマトキシリン・1水和物 (MW. 320.3)ポンソ2R (MW. 480.4)酸フクシン (MW. 585.5)となり、ヘマトキシリンよりも大きな分子であることが解かります。波長などを無視して考えると、大きな分子のほうが肉眼では確認しやすいという性質があります。よって、今回のような赤色のヘマトキシリンが共存した場合には、分子量の大きな赤色が目立つという結果になります。リンタングステン酸とリンモリブデン酸の作用の違いについては、どちらがどのくらい荷電状態が大きいか等はよく解かりません。調査次第お知らせします。まとめると、第2媒染を使用する理由として、核染の後に、核内に存在する赤色色素と結合する蛋白質およびアミノ酸と吸着して、赤色色素がつかないようにすることになります。媒染という表現が良いか悪いかは不明確ですが、あまり良い表現ではないように思えます。

質問 今回お聞きしたいのは、ビクトリア青・HE(VB・HE)の核染色についてです。日常、癌の脈管侵襲像を見るために実施していますが、後染色のHEのヘマトキシリンの染まりがかなり低下します。皆さんの施設では、きれいなHEの色を出すために何か工夫はしていらっしゃいますか?それと、なぜ染色性が低下するのかご存知でしたら教えていただきたいのですが・・・。ちなみに当院では、ヘマトキシリン、エオシンは市販品を使用しています。(武GMヘマトキシリンとピュア・エオシンです)質問ばかりになってしまうと思いますが、よろしくお願いします。

返信 ●昔一時期ビクトリア青に凝っている時期がありまして、いろいろな染色と重染色して楽しんでいました。HEと重ねるとメリハリがあって見栄えのする染色になりますよね。●あまりヘマトキシリンの染色性が低下したという報告も見られないですし、そういう経験も自分自身覚えがないですね。ヘマトキシリンと相性が悪いという事はないですかね。GMヘマトキシリンというのはギルの変法でしたっけ?。強めに(長く)染めて分別操作を行ってもだめですかね。●エオジンの染色性が低下するという記述がないので酸化処理はしていないと推察します。PAS用の過ヨーソ酸でちょっと酸化して核の染色性を上げるという手もありますが、正攻法ではないですね。●ビクトリアブルー染色液が酸性溶液なので核内タンパク質があまり酸性に傾き過ぎているとヘマトキシリンに染まりづらくなる事は考えられますが、分別洗浄は十分に行っているのですよね。今のところこれくらいしか思い浮かびません、もう少し染色方法を詳しく書いてくださると何か手がかりがつかめるかもしれません。

返信 当施設でも手術材料に関してはVBをかけております。しかしHE染色の染まりが悪い事はありません。確かにマクロで見ると色が悪いようにはみえますが、顕微鏡で見る限りでは問題ありません。ちなみにVBは武○化学の2週間熟成済みで2時間染色しております。ヘマトキシリンは自家調整のマイヤーでエオジンは先日話があったエオジンを使用しています。染色の低下の答えにはなってませんが参考までに。

返信 私の施設でも以前にVB+HE染色を行っていました。ただし、私が就職して少ししてから止めましたが・・・。そのときの記憶でも、確かにヘマトキシリンの染まりは2割〜3割減といった染色性でした。私は、いつもあまり良い染色ではないなぁと思って仕事をしていたように記憶しています。さて、その原因はというと・・・。当院の場合には酸化還元の作業を行っていたことに起因します。ビクトリア青の染色の染色原理については今なお不明な点が多いようです。ビクトリア青単体では、エラスチンが染まることは1886年に報告されています。また、塩基性フクシンなども同様にエラスチンに染まると記されています。個人的には、その他の特徴の一つにレゾルシンの存在が挙げられます。弾性線維を染める染色にはレゾルシンフクシンというものがありますが、染色の機構は似たようなものではないかと思っています。レゾルシンの作用を解明することで何らかの見解が得られるかもしれません。継続調査といたします。で、何が言いたいかというと、弾性線維を染めるレゾルシンフクシンでは酸化還元の操作を行わないのに、なぜかVBになるとやるという施設がみられる点です。もちろん、教科書的には酸化還元をするように書いてあるものも多く存在します。しかしながら、"病理と臨床"や"新染色法のすべて(鴨志田・堤の報告)"で、紹介されている方法では酸化還元は行っていませんね。つまり、酸化還元の有用性が問題になってくるわけです。酸化還元を行わなければ、おそらくヘマトキシリンの染色性は保たれると思います。まぁ、染色時間などにもよると思いますが・・・。もともと、この染色は-S-S-基や-SH基を含むシスチンやシステインを染めるものです。直接的に酸化還元によって染色性が云々というよりは、むしろその他の物質が共染することを抑制したり増強したりする要素が多いのではと考えてしまいます。真偽のほどは定かではありませんが・・。(._.)VBは液の調整が難しく、レゾルシンの新旧や色素の純度などによっても強い影響があります。安定した染色性を得たいのであれば、市販品を使ってみるのも手かもしれませんね。強い染色性をもった液を使用すると弾性線維が良く染まります。過マンガン酸やクロム酸などは酸化力が非常に強いもので、今回のように核の染色性が落ちる原因として恐らく核蛋白質を構成するリン酸基までもが酸化してしまいヘマトキシリンが吸着しにくくなってしまった可能性が考えられますね。まとめると、対処方法としては、1.酸化還元作業を行わないで染色してみる。2.どうしても行う場合は、酸化還元時間を短時間にするか○○さんのいうように過ヨウ素酸などの弱い酸化作用の酸化剤を使用する。3.染まりが安定している市販のVB(武○)を使用する。などが挙げられます。取り急ぎ・・・。

返信 解決方法としては、○○さんの言われることで解決されると思います。ビクトリア青は、オルシアンから合成された赤褐色結晶物で、水に不溶、アルコールに可溶の塩基性色素です。HBs染色には、酸化を要しますが、弾性線維染色には不要です。(酸化することで弾性線維のSS基、SH基と染色液の結合が増すといわれていますが)参考:検査と技術 vol.26 no.7 1998年 増刊号、弾性線維の染色法(山下他)p114-118また、酸化剤が過マンガン酸カリと硫酸の混合液ですから、核内の核酸、燐酸基も酸化されてしまい、核染色も染色しにくくなります。また、弾性染色液(オルセイン、レゾルシン・フクシン、VB等)は、いずれも塩基性色素であり、(ちなみにヘマトキシリンも塩基性色素)、これらは核にも染まってしまうのです。余談ですが、これらの染色液は酸性粘液(スルホムチン)も染色します。染色手順からしても、VB染色が先であるため(酸化処理なし)、あまり目立ちませんが核にも染まっているのです。したがって、@ VB染色後の70%アルコールの分別処理は十分に行う核に共染あるときは、1%塩酸アルコールで十分に分別する)A 流水水洗を十分に行う(5分)B HE染色すればよいと思います。以上です。

返信 酸化還元はしているのですか?VBはうちも武○を使用していますが、まず問題ありませんね。製品ということで一応品質管理ができているようですね。以前、自家製を作っていましたが、新しい色素があまりよくなくて、既製品にしました。うちは、弾性線維染色はEVGでやっているのでVB+HEは行っていません。だから、製品を買ってもあまり減らず、なんとコストパフォーマンスの高い染色液だと、感心しております。

返信 当院でも、以前は染めていなかったのですが、やはり脈管侵襲像が見やすいからと言うことで染めることになりました。ヘマトキシリンの染まりは、「かなり」と表現してしまいましたが、2〜3割減程度だと思います。私の染色方法ですが、酸化還元操作は行っていません。VBの染色液は自分で調整しています。(2週間熟成させてから使用しています。

返信 2時間染色後、70%アルコールで十分分別しています。その後、GMヘマトキシリンで8分(通常HEでは5分)染めて水洗し、ピュア・エオシン(原液5倍希釈)で5分染めています。ヘマトキシリンに長めに入れることで核は染まってくれるのですが、エオシンの色が悪くなってしまいます。そこで、思い切って12分ぐらい入れた後に1%塩酸70%アルコールで軽く分別してみると、エオシンの色は良くなったのですが、核がぼやけた感じになってしまい、シャープさに欠ける気がします。○○さんのおっしゃる様に、核にVBが共染しているせいでしょうか?ヘマトキシリンの前の塩酸アルコールの分別、早速試してみようと思います。ヘマトキシリンも変えて試してみます。今現在は、どうも後染色のHEが気に入らないので、全部のHE+癌部のVB・HEをセットで出しています。ですが、最近先生に「VB・HEのみでよいのでは?」と言われ、悩んでしまいました。なにせ、自分で本を片手に始めた染色なもので、心配なのです。酸化還元ですが、お恥ずかしながら、本に「ワンギーソン等を重染色するときは酸化還元はしない方が良い」と書いてあったからやらなかったように思います。VB・ワンギーソンもきれいな染色だと思います。私の所では、「EVG」よりも弾性線維が見やすいと好評です。

返信 なるほど、では話が変ってきますね。酸化還元を行っていなければ、その原因についてはVBの染色液に問題がありそうですね。市販品を使用している○○さんの施設では、問題なしという解答が得られていますので自家製VB染色液に絞ることができますね。考えられる原因として調整時に使用する塩化第二鉄の存在があやしいですね。ビクトリア青は塩基性フクシンと非常に似た構造を呈しています。染色の目的物質も同様であり、レゾルシンフクシンと同様の染色原理が考えられます。現在、レゾルシンフクシンにおいても、様々な原理が言われていますが、塩化第二鉄による塩基性フクシン(ビクトリア青)の酸化的色素重合により共益系が伸びて巨大化した色素分子と極性基の乏しいエラスチンとのVan der Waals力によるものという仮設に基づくならば、染色液の調整過程で本来色素と重合すべき塩化第二鉄が未反応のまま残留し、結晶化がおこります。それが、アルコールで溶解した染色液中に再溶解し、染色液中には遊離の鉄イオンが多数存在することになります。鉄イオンに関しては、核蛋白質との結合性がアルミニウムよりも強く、結合は強固だと言われています。つまり、鉄イオンまたは、単体の鉄-ビクトリア青色素が核蛋白質に結合してしまい、後に染色するヘマトキシリンの核への吸着を阻害している可能性が考えられます。対処方法として、染色液作製時の反応系の時間を長くして未反応物質の残留を抑制する。あと・・・、染色液作製時の反応色素乾燥後、思いきって上から蒸留水をかけて余分な物質(未反応の塩化第二鉄など)を洗浄してしまうなんてことも考えられますね。ビクトリア青の染色液の調整は工程が多く、目的物質の収率もかなり悪くなっていることが考えられます。自家製にこだわるのであれば収率を上げる方向で何らかの手立てを打つ必要がありますね。製品として売られている染色液は色素の重合物(多量体)の純度が高く、単量体やフリーの鉄イオンなどの存在を非常に少なくすることで製品の品質を保持しているものと予想されます。私が製品の製造者ならばこのような方法で製品を作製するでしょう。(^_-)また、ビクトリア青液に含まれている物質にはデキストリン、レゾルシンなどがありますが、それらの働きについては継続調査中です。ただ、レゾルシンに関しては色素が多量体化するときの接着的要素があるのかなぁ、なんて考えています。こんなことって、参考になるのかなぁ?

返信 先日、○○さんと電話でお話をしたのですが、そのときVBの話題になりまして、70%アルコールでの分別をしっかりやると核の染色性が保持されるとききました。ではではっと実際に行ってみました。アルコール分別でのアルコール交換回数を3回にして青色がほとんど見られない状態にし長めに浸けておきました。その後、水洗(少し長め)をして炭酸リチウム処理・硫酸ナトリウム処理・処理なし・HEのみと各2枚づつ同条件で後HEをおこなってみました。結果は、良好でしたよ。VB処理を行ったものに関しては処理法により差異はみられませんでした。HEのみのものと比較するとヘマトキシリンの強度はほとんど差がでませんでした。むしろ、VB処理のほうはエオジンがカブリ気味で濃い紫色を呈しました。まだ、数件しか試していないのでハッキリとは言えませんが、よさそうな印象ですよ。

質問 某氏から「ホルツアー染色がうまくいかない」という電話がありました。私は、ホルツァー染色を行ったことがないので、対応できません。どなたか、染色のコツを伝授してもらえませんでしょうか。症状としては、色が落ちないらしいです。曖昧で申し訳ありません。

返信 ●ホルツアーは難しいっす。!脳専門でない施設が成書片手にやったのではなかなか歯が立ちませんね。分別不良だった経験はあまりありませんが、ムラムラになったり、過分別で色が落ちすぎた事は多々あります。色が落ちないと言うと分別が不良だという事だと思います。分別液のアニリンクロロホルムは3つ位使った方が良いでしょう。使用するアニリンの良し悪しが関係あるようですが、”(褐色になった)古いアニリン”が良いという話もありますね。あとバックは完全に真っ白にはならない(そこまで落とすと線維も脱色してしまう)ので、その状態を色が落ちないと感じているという事もあるかな?曖昧な返答で申し訳ありません。

返信 ホルツアーはむずかしいですよね?_+)いつもしっぱいしてムラムラしてしまいます。あっ!!すみませんムラになってしまいます。

質問 本日は、皆様に聞きたいことがあります。乳腺等の癌浸潤の断端判定に用いるインクはどのメーカーをご使用でしょうか。当院では、パイロットの黒を使用していて、黒に関しては比較的HE染色で残るのですが、それ以外の色はあまりよく残りません。また、黒に関しても以前PARKER社のものを使用したら、ほとんど残らず困ってしまい、会社によってこんなに違いがあるものかと驚いてしまいました。ご使用のインク名および製造会社名をお知らせ願えませんでしょうか。よろしくおねがいします。

返信 ●自分のところで使っていないので他の施設のものを紹介したいと思います。愛知県技師会の病理研究班の工夫コーナーにマーキングの事が出ていました。Davidson Marking Systemといって、刺青の成分だそうな。詳しくは http://www.aichi-amt.or.jp/labo/patho/device.htm を見てね。愛知県技師会の病理研究班のページはなかなか充実しているので是非みなさんも一度見てあげて下さい。(愛知の班員でお友達がいたのでたまたまのぞきに行って見つけた。)

返信 うちでは断端には墨を用いています。黒い墨汁か赤い墨(書道の時間で先生がつかってたやつ)ともに落ちることなくばっちりです。

返信 いつも皆さんのメールを読んで感心しています。刺激されますね!!断端の印には当院も朱墨か墨を使用しています。試してはいないですが水溶性顔料系インクなら有機溶媒に強いと思います。

返信 当院でも一度墨汁でためしたのですが、落ちが多いのと脂肪にはじかれるような感じがありやめたように記憶しています。そののち、パイロット社のインクを使い、黒く塗りそのあとブアン固定液に少し浸けて色素を硬化させる方法を行ってます。米国での方法を流用しました。おそらく、墨汁で最初に検討したときは、墨汁自体に問題があったのかもしれません。なにせ、異常に古いものを使用したので・・・。今度は新しいものを使用して検討してみます。あとDavidson Marking Systemって高そうですね・・・。

質問 今、実習生が来ているのですが、グロコット染色の酸化で「無水クロム酸」を使用する方法と「重クロム酸+塩酸(だったと思うんですが・・)」を使う方法の違いは?と聞かれました。私も以前から気になっているので、どなたか教えていただけませんでしょうか?よろしくお願いいたします。

返信 ●十年くらい前”メセナミン銀とムチカルミンの重染色によるクリプトコッカスの菌壁、莢膜の同時染色法”という内容で学会発表をした際、グロコットはかなり調べた覚えがあります。(ということはこの論文も書きかけで寝かせてもう10年とう事になりますね。)真菌の多糖類を酸化してアルデヒド基を生じさせということにおいては同じだと思います。酸化が足りなければ、膠原繊維など他の成分が染まってくるし、過酸化だと共染はなくなりますが真菌の染色性も落ちます。マッソンなどで使用することからも重クロム酸の方が酸化力が弱く真菌類のみを染め出すのにかなり時間がかかってしまうと推定されます。(あるいは弱すぎて完全に酸化しきれないかもしれない)無水クロム酸以外は使ったことがないし、そのような記載も見られません。「重クロム酸+塩酸」は何か別の染色の酸化法を混同しているのはないでしょうか。

返信 これってどちらも真菌を染めるためのものですよね。重クロム酸+塩酸の方法はちょっと調べた限りでは見当たりませんでした。本題に入ります。まず、化学式をみてみましょう。無水クロム酸 CrO3    (酸化クロム(IV))、重クロム酸   K2Cr2O7 (二クロム酸カリウム)ともに酸素を放出するのに都合の良い構造となっていますね。酸化以外の目的は考えづらいですね。構造式は現在手元にないので、追ってお知らせします。次にグロコット染色においてこれらの物質を使って酸化する原理的要素を考えてみます。蛋白質や糖質などを構成する成分には-OH基を含むものが多く存在します。染色技術で酸化とは、このような官能基を変化させる作用があります。つまり、さまざまな-OH基の酸化反応理論が解かれば問題ないわけです。化学反応系では、-OH基の酸化反応は有名で、おそらく大学レベルの有機化学の教科書にはほとんど出ている反応です。以下、今教科書がないので、うる覚えの知識で申し訳ありませんが、対応させていただきます。解説しますと、一級および二級の炭素につくOH基は酸化可能です。三級では安定性が増大しOH基(原子は多置換であればあるほど安定の方向に傾く)の酸化はおこりません。次に酸化物質の強さによって、反応生成物に差異が生じるという点です。これら、酸化可能な-OH基に対して弱い酸化を行うと-CHO基(アルデヒド基)に変化します(詳細は後ほど・・)。そして、これをさらに酸化したり、-OH基を強い酸で酸化した場合には-COOH基へと変化します。

   =C-

    |         -C=O       -C=O

 -C=C-OH  >>   |    >>    |

  |            H          OH

最終的な酸化反応物質である-COOHは安定性が高く(逆にいえば反応性に乏しい)-COOHを還元して-CHOとする還元反応は、生体検体ではかなり難しく今だに良い反応系は見つけられていません。つまり、基本的には右方向のみの反応系となるわけです。PAS染色などでは、弱い酸(過ヨウ素酸)をもちいて-OH基を-CHO基に変え、シッフとの発色反応を得るという反応原理となっています。が、個人的には、シッフはOHとも反応していると思っています。グロコット染色も同様で、使用されるメセナミン銀は-OH基または-CHO基との吸着性がよく、例えば弱い酸で酸化し行った場合には、PASと同様の染色態度を示してしまいます。グロコット染色は染色対象が限られた染色であり、PASのように様々なものが染まっては困るわけです。そこで、強い酸で-OH基を酸化し-COOH基にすることで-OH基をつぶして-CHO基および-OH基由来の反応を抑制しているわけです。実際にPAS等の染色で強い陽性を示す糖質などは-OH基を非常に多く含んでいます。真菌を染めたい場合、菌体の膜構造物が染まれば良いわけで糖質との反応は必要ありません。そこで、強い酸を用いて-OH基をつぶしているわけです。グロコット染色と同様にグリドリー染色というものがありますが、OH基の抑制原理はこれと同様なのです。で、結論はというと・・・。どちらもOH基の酸化作用が主目的で差異はない。しいて挙げれば、酸化時間の違い程度ではないかと考えられます。ではっ(^^)追伸 家に帰ったら、早速教科書をみてみますね(^_-)

返信 グロコット染色の酸化剤で、「無水クロム酸」、「重クロム酸+塩酸」ですが、これらは、PTAH染色のクロム処理として使用されます。おそらく実習生は、PTAH染色のクロム処理と混同しているのでしょう.<余談>私が○○大にいたころ、PTAH染色が安定しなくて一時期ですが、病理医にこの染色のオーダーを止めてもらったことがあります。1年以上、あれやこれや検討し、最初はPTAH染色液に問題があると思っていろんな調整で検討したんですがうまくいかず半年ばかりほっといたんですが、ある日ふと、PTAHの液は何もしないで切片を入れたらどうなるのかと思い、ただ染めてみると、意外や全体的に染まっていたのです.つまり、これらの染色法が作られた頃の固定液は、ツェンカー等のクロムが入った固定液が主流だということに気がつき「無水クロム酸」、「重クロム酸+塩酸」を使ってみたのです.両者とも、先に処理(重金属は蛋白に結合しやすい特徴がある)し、PTAH染色液に入れると、さらに染色性が増強されており、あいだの、過マンガン酸カリによる酸化で、横紋筋の横紋、神経膠線維が残され(分別?)ることが解ったのです。ちなみに、横紋筋には、「無水クロム酸」、神経膠線維には「重クロム酸+塩酸」処理を使用しています.

返信  詳しく申し上げると、一級のOH基をもつ炭化水素の酸化反応は

    H

    |     [O]  R-C=O   [O]    -C=O

  R-C-OH  --->   |    ---->    |

    |            H             OH

でアルデヒド基およびカルボキシル基に変化します。この変化は基本的には前回おしらせしたとおりです。次に2級のOH基をもつ炭化水素の酸化反応は

    H

    |     [O]  R-C=O

  R-C-OH  --->   |

    |             R

    R

となりケトンとなります。ここから先の反応は家に帰らないと資料がありませんが、どちらかのR-Cの結合が切断された場合には一級の炭化水素の反応のようにアルデヒドになる可能性があります。ただし、結合の強さからいうとR-Cの共有結合(σ結合)よりもC=Oにおける2重結合(σ結合+π結合)とくにπ結合の部分がとれやすくなるために

     R-C-X

       |

       R

がまず考えられます。アルデヒドに変化するには-C-C-結合が切れなければ存在しえないのでC-O-、-C=OおよびC-Cの結合解離エネルギーを調べる必要があります。(理科年表でしらべてみます(._.))また、これらの一連の反応はE2脱離反応でおこなわれている反応機構です。生体試料での酸化反応も、これらの反応が起こり後にシッフや銀の反応が起こっていると考えて良いと思っています。また3級のOH基をもつ炭化水素の酸化反応は立体構造が込み合ってるため反応がマスクされてしまい、脱離がおこらず変化をうけません。

返信 ●クリプトコッカスの検出には細胞膜を染めるグロコット法と、莢膜を染色するムチカルミン染色がありますが、それらの重染色はグロコット法のクロム酸による酸化処理で莢膜の染色性が失われてしまうために困難でした。そこで過ヨーソ酸により弱く酸化処理を施した後(PAMなどに使用されている)チオセミカルバジドを使い、反応基を増感させたうえでメセナミン銀を付けます。この反応系自体は電顕で使用されているものです。その後ムチカルミンで莢膜を染色し、カウンターステインとしてメターニールイエローを施すことで、膜が黒、莢膜が赤、バックが黄色とコントラストが良い標本ができます。この染色の背景には当時AIDSなどの日和見感染が問題になった際にAIDS患者には非莢膜性クリプトコッカスが多いという報告があったものですから、両方染まると面白いのではと思ったのが始まりです。単純にグロコットとムチカルミンの両方染色すれば済んでしまう話ではあるのですが。蛇足ですが、この頃若気の至りでやたら多重染色に凝っていました。膵臓ラ島三重染色(今時やっている所はないでしょうね。)アルデハイトフクシン&マッソン(自分的にはす〜ごく良いと思っている)ビクトリアブルー&マッソンゴールドナービクトリアブルー&コンゴーレッド(血管壁などがアミロイドで置き換わっている様子が良く分かる。お奨め)ビクトリアブルー&グロコット(血管壁を菌が突き破っているのが良く分かる)などなど。色キチガイ、派手好きという罵声に耐えながら突き進んでいた頃が懐かしい。

返信 想像すると、とてもきれいな染色のように思います。クリプトコッカスって、染色法が多いですね。アルデハイトフクシン&マッソンって、写真でしか見たことがないのですが、すごくきれいな染色ですよね。(憧れの染色の一つです。)ビクトリア青の重染色って、イロイロあるのですね!びっくりです。VB-コンゴー赤やVB-グロコットはやってみたいです!やっぱり、染色は「きれいで分かりやすい」が一番だと思います!

返信 ケトンに関しては、これ以上酸化しても大きな変化はみられません。むしろ面白いのはケトンやアルデヒドの水溶液中での振る舞いです。ケトンやアルデヒドは溶液中では水の求核的作用を受けてジオールを形成します。

ジオールの化学構造は

      R

      |

    R-C-OH

      |

      OH

OHが一つあるとol(methanol,ethanol)となり、これらが二つあるので2(di)-olとなります。ケトンは

   R-C=O

        |

        R

で、         H:OH

   R-C=O --------->     OH

        |                  |

        R                R-C-OH

                           |

                           R

を形成します。先日、OH基を酸化してケトンを得る話をしましたが、ケトンはで水溶液中ではH:OHの求核的攻撃を受けてジオールが形成されているのです。ただし、この反応はケトンでいるか、ジオールに変化するかはRの構造に依存します。しかしながら、Rがどうであればケトンでありジオールであるかは一概には言えません。自然界の法則どおり、より安定な形態をとるのがセオリーです。以上より、例えばPAS染色でアルデヒドを染めるという操作は実際にはどうなのかが疑問化されます。簡単な実験をしてみます。ホルムアルデヒドの水溶液にシッフ試薬を数十μいれてみます。見事な赤紫色を呈する訳で、なるほど理論どおりと頷けるでしょう。しかしながら、よく調べてみるとホルムアルデヒドは水溶液中ではその95%以上がジオールで存在しているわけです。私などは、根がひねくれているので、シッフ液ってアルデヒドではなくてジオールを検出しているのではないかと考えてしまいます。ちなみに、ケトンを有するアセトン溶液にシッフを数十μ入れてみると、淡い、淡い発色が数十分後に出現してきます。ああ、ケトンとシッフは反応性に乏しいのだと感じますが、やはりよくしらべてみるとアセトンはジオールの形成が1%に満たないものなのだそうです。だからといって、この理論からシッフとジオールを短絡的に結び付けられるほど、単純なものではありません。これを解決するためにはシッフの構造も考えなければならないようです。近日中につづきを・・(つづく)

返信 以下かなり専門的になるので興味のある方のみご覧ください @@@@@@

前回に引き続き染色理論を・・・。シッフ液の化学機構を考えてみます。シッフの主要発色基はパラローズアニリンをはじめとする塩基性フクシンが主体となります。塩基性フクシンはTriaminotriphenylmethanes(Rosanilins)に属しBASIC FUCHSINS (CI), PARAROSANILIN (MAGENTA O) [C.I. Basic Red 9] C.I. 42500, ROSANILIN (MAGENTA I)(CI) [C.I. Basic Violet 14] C.I. 42510, MAGENTA II, NEW FUCHSIN (MAGENTA III)(TRAD)[C.I. Basic Violet 2] C.I. 42520などが存在します。基本となる分子骨格は3個のベンゼンと中心に存在する炭素(C)が三角形状に結合したもので、これらは対照性が良い平面構造を呈しています。ベンゼン環は共鳴理論により炭素・炭素の結合はおよそ1.5重結合であることが解かっています。また、中心に存在する炭素はやはり共鳴構造を呈するもののベンゼンほどの安定性は得られません。構造からこの結合はおよそ1.3重結合であると推察されます。もちろん、これらは共鳴構造体を呈するために色素としては電子共有がおこり等価の結合を呈し、その安定性が非常に強いものとなっています。この安定構造を呈する色素が、強酸で処理することにより電子の解離がはじまります。強酸性下では色素分子に不安定化がおこり、共有化されていた余剰電子が本来の電子配置に戻り中心炭素の未結合電子が過剰になります。よって、この過剰になった電子は、ブラブラしているわけにもいかないのでパートナーを探し出します。シッフ液には亜硫酸ナトリウムが含まれておりこの-SO3と中心炭素の過剰電子が結合し安定となります。立体構造化学的には、平面構造を呈していた塩基性フクシン分子が歪な三角垂形を呈することが予想されます。塩基性フクシンの発色基団は三つのベンゼンとその中心炭素から構成されています。これらは、共鳴構造からなり、光エネルギーの吸収波長(赤色帯)と共鳴振動することで発色が生じるわけですが、この構造が変化すると同じに吸収波長が変化し赤紫色を呈した塩基性フクシンが薄く淡い黄色を呈する透明な液体に変化するものと考えられます。実際の染色のメカニズムは、酸化により生じたアルデヒドを-SO3基を介して結合し、pHの変化によって-SO3がついた状態で安定であった透明液体が元の塩基性フクシンの状態に帰ることによって発色するという、非常に化学的な染色なのです。このことは、PAS染色でシッフ液>重亜硫酸洗浄を行った後の流水水洗を長く行うと赤色の発色のコントラストが良くなるという経験的事実と合致します。以下近日中につづく(^_-)

返信 先日のシッフについてですが・・・。「強酸性下では色素分子に不安定化がおこり、共有化されていた余剰電子が本来の電子配置に戻り中心炭素の未結合電子が過剰になります。よって、この過剰になった電子は、ブラブラしているわけにもいかないのでパートナーを探し出します。シッフ液には亜硫酸ナトリウムが含まれておりこの-SO3と中心炭素の過剰電子が結合し安定となります。」この件について追加検証実験を行ってみました。前回記載した内容に間違いがありましたので訂正させていただきます。塩基性フクシンは、-SO2または-SO3との反応性が認められ、酸性下でなくても反応し発色基が変化します。これは、中心炭素が-SO2または-SO3との親和性がよく、より安定なほうへ反応するという原則に従います。

返信 以下かなり専門的になるので興味のある方のみご覧ください @@@@@@

前回に引き続き、シッフ試薬について考えてみます。シッフ試薬の概要は前回お知らせした通りですが、欠けていたものが一つあるのでそちらを考えてみます。それは、シッフにおける塩酸の存在です。その効能についてはいろいろとあると思いますが、いろいろ調べてみると面白いことが解かります。シッフ試薬のアルデヒドとの反応は古くから存在し、とくにホルムアルデヒドの検出に関係がありそうです。私の調べたホルムアルデヒド検出法(Denige's Method)にシッフ試薬の記載がありました。ある溶液にホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが混在するときに、pHを0.7程度にするとホルムアルデヒドのみが検出できます。pH0.7のシッフ試薬では、アセトン、フルフラール、ショウノウ、ブドウ糖、ショ糖、サリチル酸、クエン酸、蟻酸およびハッカ油などの2%溶液に対して負の結果を示すとされています。私は、シッフ試薬がなぜ組織化学に使われたかの経緯は知りませんが、このような検出試薬としてのシッフ試薬が使われたために塩酸を入れるという名残が残ったのかもしれません。実際のシッフ試薬のpHがどのくらいあるのかは私は知りませんが、酸性にすることでアルデヒド、ケトン、水酸基との反応に特異性が現れ、さらに酸性にするとホルムアルデヒドのような単純なアルデヒドにのみ反応するという事実がわかりました。昨今では、シッフ試薬を自家製で調整する施設は非常に少なくなってきました。私たちのような製品の使用者はこのようなことを忘れがちですが、試薬一つにも様々な化学的要素が存在し、何一つ無駄なものが入っていない潔さすらかんじられますね。

質問 今日、先生にヘリコバクターの染色でAlcian Yellow and Toluidine Blue (AYTB)染色はできますか?と聞かれました。わたくしは知りませんでした。どなたか御存じの方は教えて下さい。

返信 下記に詳しく記載があります。>http://members.pgonline.com/~bryand/StainsFile/stain/micro/heliaytb.htm免疫染色があるのにあえてAlcian Yellow and Toluidine Blue (AYTB)染色をするのはなぜでしょうか?

返信 ●私も知らなかったのでmedlineで調べるといくつか出てきますね。Mod Pathol 1998 Jan;11(1):72-8,A novel Alcian yellow-toluidine blue (Leung) stain for Helicobacter species: comparison with standard stains, a cost-effectiveness analysis, and supplemental utilities.あまりメジャーではない染色法のようですね。Alcian Yellowで粘液を黄色に染めてtoluidine blueで青く染まったHPがコントラストよく見えるらしい。図書館へ行って調べるべし。

返信 HP染色の話になってきましたねー、現在,当施設では,HPの特殊染色となると酵素抗体法を行っていますが,Alcian

Yellow and Toluidine Blue(AYTB)っていう染色法があるんですかー?知りませんでした.察するに,この染色は通常の光学系用(明視野用)のもののようですねー.コントラストが良い染色なら是非試してみたいと思います.以前,内視鏡医師からの依頼でHP染色についてちょっとだけ検討をしてみたことがあるんですけど,アクリジンオレンジが高感度・高コントラストで,呼気テストとの相関も良く,なかなかいいんじゃーないかな!?と思った記憶があるのですが…

●今回の事とは直接関連はないのですが、酵素処理でいつも疑問(不満)に感じている事があります。それは酵素の力価を無視している事です。同じ酵素(例えばペプシンなど)で0.1%といっても、力価が異なれば効果はかなり違うと思うのですが。成書は勿論のこと、論文(特に日本の)でさえ未記載の物がとても多い。それで濃度や時間を論じるなんてナンセンスとしか思えない。

返信 酵素処理ですが○○さんの言われるように酵素活性の低いものが入荷したことがありました。

返信 これは、どのように表記すれば良いのでしょうか。また、力価の測定はどのように行えば良いのでしょうか。

返信 ●力価という表現が正しくなかったかもしれませんね、ユニットですね。(手持ちのpepsinはカタログ上 800-2500 unitsとなっていて1310 units/mg prot. だった。) やデーターシートに記載があるのであらためて測定する必要はないでしょう。

返信 当院のトリプシンには表示がありませんでした。これって、変?(@_@)

こんど購入するときは、きちんとした表示のあるものにします。

質問 廃液とかどうしてます!?うちは,有機溶媒,無機質&染色液系,どくろマーク(毒・劇薬)のやばい試薬系に分けて,溜まったら,廃液業者に持っていってもらうようにしてるんですけど…最近,試薬の管理・廃液などが非常に厳しくなってきてるので…。何気なく使ってたら,小さな英語でチロメサール(水銀化合物)含有とか書いてあるのに突然気づいて,ひやーっとしたりして…。また,染色に使った液をひとまとめにして捨てるのも問題があるなーと思ってて…試薬同士が反応して爆発しちゃっても困るし…厳密には,各試薬の処理方法があって,本当はその通りに処理しなければならないんでしょうけど…。実際問題としては厳しくないですかー?何かいい,ふるい分け&処理方法,あるいは基準みたいなものをご存じでしたら教えて下さい.

●シアンはアルカリ性で保存すること。よい子は酸などを混ぜないでね。●施設によって廃液に関してはルールみたいなものがあるのではないかと思いますが、うちでは有機溶媒は可燃物(キシレン、アセトンなど)塩素、ハロゲン系(クロロホルム)に分けて集めて回収あとはシアン、ヒ素、水銀、水銀以外の重金属、クロム、ホルマリン、フェノール、酸、アルカリが(大学)共通の分類で。病理独自としてDAB、重クロム酸、酢酸ウラン、ブアン、エポンなどなど分けられる範囲で細かく全て単体回収ですね。基本的に全て回収、業者に持っていってもらってます。(大学で)どれだけお金がかかっているかは不明ですが、けっこうな金額だと思います。ポリ容器が大小20個くらいころがっていて、流しの下は廃液容器だらけです。原則として、何も下水に流してはいけないということになってます。しかしアルコールなどはがんがん流してしまっていますね。ヘマトキシリンやエオジンなどの(重金属など含んでいない)色素はこそっと流してしまってますね。アルカリは回収といっても化学洗浄薬などは強アルカリですが、流してしまってますから、ざるといえばざるですね。だいたい病理では試薬は混合して使用することが多く、分類するのは難しいですね。

質問 HPつながりでヘリコバクターの免疫染色について質問させて下さい。プロテイナーゼ(○○)10分, 3%過酸化水素メタノール 10分, HP抗体(○○)          60分(37℃),○○○○○○SAB-PO(MULTI),を使用して染色しています。染色結果は良好です。ところが○○○○○○MAX-PO(MULTI)を使用すると染色性がかなり落ちます。他の施設ではいかがでしょうか

返信 ●比較したことがないので分かりませんが、核内抗原などでポリマー法では感度が低下することが知られています。核膜と同様に菌体の膜面を抗体が通り抜けにくいと考えると、染色性が低下する事と一致するかと思います。SAB法で主に染色していますが、できたらポリマー法に切り替えたいのですが、研究用の変な(?)抗体や核内抗原を染色することが多いので、症例によって染まらなかったらと思うとなかなか踏み切れません。確実に染まる物に関してはポリマー法を使ってます。○○の抗体では酵素処理が前処理として指定してありますね。他社では熱処理などを推奨しているところもあります。

返信 当院でもSAB法とポリマー法を使い分けています。腎生検の免疫グロブリンは内因性ビオチンの影響を受けないポリマー法を使用しています。特にIgAが非常にきれいに染色されます。

返信 タンパク処理とポリマー法の件ですが、当院ではタンパク処理はトリプシンとプロテアーゼを使用しております。トリプシンはそんなに強くないせいか、ロット差はあまりないので、ほとんど同じ濃度で使用しております。プロテアーゼに関しては以前びっくりしたぐらいに、細胞がとろけてしまったので、それ以来新しいビンを使用する際には濃度をチェックしてから使用しております。今のところひどく差が出ている感じはありません。あと、SA○とMXですが、あまりそのような経験がないので何とも言えませんが、ときどき、一次抗体との相性がわるく染まってこないことがありますが、SA○とMXは同じ会社なのでSA○とMXで差が出ると言うことはちょっと難しいですね。当院でも以前はSA○を使っていましたが、MXに切り替えてしまいました。核内抗原はもちろん、タンパク処理をおこなったときなどポリマー法ではバックが出てしまったものが、MXではきれいに染色されます。もちろん、ポリマー法がよい抗体もあります。ちょっと複雑になってしまいますが一次抗体によって変えています。

返信 そう思うのですが抗体で差がでてしまいます。○○さんのところのヘリコバクターの染色法を教えて頂けますかお願いします。もちろん、ポリマー法がよい抗体もあります。

返信 当施設では,○○○○○○SAB→Envis○○ときて,今,○○○○○○MAXに切り替えようかという丁度狭間の時期です.とある抗原(E-cadherinなど)で,比較してみると,感度は,Envis○○<○○○○○○SAB<○○○○○○MAXで,またコントラスト等の染色性も○○○○○○MAXが最もよかったと思います.一概には言えないと思いますが,僕も検出する抗原や抗体の種類等(局在・分子量・密度・抗原決定基…),様々な要因により,最適な検出キットは異なると思っています.似たような論文も,“病理と臨床”をはじめとして多数見うけられます.ただ,ルーチンでやるとなると,抗原・抗体はたまた臓器などよってdetection kitを変えるのは煩雑なので,多少は目をつむって,発色などで調整するようにしています.ちなみに,当施設では,加熱処理による抗原賦活化を行うようになってからは,非特異反応が出やすくなるなどの理由により,いわゆるMultiタイプは用いていません. 追伸.無論,検出する抗原や用いる一次抗体によって,抗原賦活化法(未処理,プロテアーゼなどのタンパク分解酵素処理,加熱処理に用いるバッファーの種類およびpH・温度・時間などの諸条件,界面活性剤添加の有無,界面活性剤処理,酸・アルカリ処理等々)は,変えています.追伸その2&訂正 肝・腎などの内因性ビオチン活性が高い臓器では,ビオチンのマスキングはあまりうまくいかないので,avidin-biotin系のdetectionは用いていません.(禁忌だと思っています.biotinは耐熱性ですし…)また,内因性ペルオキシダーゼ活性の高い造血系(骨髄・末梢血)では,alkaliphosphatase labelingを用いるようにしています.CSA or TSAは,よっぽどのことがない限りは用いず,一次抗体の種類や濃度を変えるなどによって対応しています.まだ,シンプルな間接法も用いています.また,発色が弱いと想像されるものに関しては,イミダゾール添加DABを用い,発色した後に,やっぱり弱いようだったら,オスミウム酸処理をしています.(硫酸銅水処理は,劇的に発色が濃くなるとは思っていません)……。煮沸・MW・オートクレーブ処理などをすると,どうしても剥がれてしまうけど,加熱系の抗原賦活化が必要なものは,脱パラ後,切片を適切な加熱処理用溶液に浸漬し,60℃で2〜3日処理するとかなり抗原性が回復します.また,加熱系の抗原賦活が必要ない抗原・抗体でも,細胞診材料などにおいては,バックグランドを下げコントラストを上げる効果(特に核抗原など)もあります.(加熱処理が禁忌のものは除く)

皆さん,ご存じだとは思いますが,抗原賦活化を行わなければならないパラフィン切片は,シランコーティングスライドを用いるべきで,しかも湯伸ばしの必要がない武○化学でいうと○○○シランがよいのですが,凍結切片や細胞診用にこの○○○シランコートのスライドガラスを用いるのは禁忌です.といいますのは,○○○シランコートスライドは,マルチコーティングスライドになっていて,シランコートした上に,更に切片を伸びやすくするコーティングがしてあり,パラフィン切片ですと通常,薄切した切片を染色する前に熱乾燥しますので,その最上層のコーティング剤が溶けて,その下のシランと切片が強固に張り付くのですが,凍結切片や新鮮細胞材料では,通常染色前にこのような熱処理は行いませんので,未処理のスライドガラス以上に,切片または細胞が剥がれてしまいます.(要注意です)したがって,凍結切片や新鮮細胞材料には,シランコートのみのスライドガラスを用いるべきです.(それほど剥がれないものなら,未処理のスライドでもよいと思います)シランコートスライドは,市販で手に入りますが,自作品も簡単に出来ます.なお,○○○シランのように伸びて,しかもシラン単独のように,熱処理などが必要がものがどうしても必要なら,シランコートした後に,特殊な界面活性剤系の試薬で処理をすれば,熱処理もせずに良く伸びて良く貼り付くスライドガラスが出来るそうです.(まだ試していません)

返信 シランについて。まず、ケイ素Siは、炭素Cと同じく結合の手を4本持っています。シランという化合物は次のように表されます。

     H

     |

   H- Si-H

     |

     H

半導体素子を作るには欠かせないガス状態の化合物ですが、一方で炭素の場合と違ってこの化合物、とても不安定で、10数年前には阪大で爆発事故も起こっています。4つの水素Hを完全に官能基(R)で置き換えたものは、爆発性もなくなり、一般の化学試薬として市販されているものも多くあります。官能基は、塩素Clとか(OMe),(OEt)といったアルコキシ基などで置き換えたものは反応性を持ち、取り扱いを左右します。一方、他の官能基で置き換えた部分は、シラン剤としての機能性を大きく左右します。ガラスにシラン剤を塗布した場合の模式図は、

        R    R    R    R  

        |   |   |   |

   2(HO)-Si-O-Si-O-Si-O-Si-(OH)2

        |   |   |   

〜〜〜〜〜〜〜〜O〜〜〜O〜〜〜O〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ガラス表面

 

とまあ、ガラス表面のシラノール基(Si-OH)とシラン剤が一部反応し、また、シラン剤自体もお互い重合反応して、コーティング膜ができます。このコーティング膜の性質は、官能基(R)の性質によります。即ち、シラン剤として、官能基(R)が水をはじく油のようなものならば、撥水性が生じます。官能基(R)として具体的には、メチル基CH3,ブチル基C4H9,オクチル基C8H17,オクタデシル基C18H37などが考えられますが、実際の組み合わせはわかりません。○○さんのいうマルチコートとはどのような作業工程で行われているものか、よくわかりませんがN○○シランおよびシランと呼ばれているガラスコーティングの作用機序は官能基(R)の違いにより派生してくるものです。つまり、官能基が熱による活性が高く、親水性基をもったものがN○○シランとなるわけですね。この親水基(例えば-OH基など)をもつということは、水溶媒中では官能基と組織蛋白質間に水分子が介入してしまうことを意味しており、今回の発言のように細胞・迅速診用には向かないとおっしゃっていると思われます。標本作製過程は、施設間差がありすべてに言えることではないと思いますが、原理を理解し使用することは何事においても重要なことだと考えています。経験則と化学理論の融合こそが、近代病理技術の進む道だと個人的には思っています。ちなみに、シランコートガラスという名称はシラン単体が蛋白質との結合作用があるのかと勘違いしやすいので、誤解を招きやすい名称ですね。蛇足 自動車のガラス撥水処理剤(○イン X,○ラコなど)はR-シランが使用されています。これらの製品がでる前にはpoly-L-リジン含有なんていう製品もありましたね。

返信N○○ Silaneのマルチコーティングという発言は,必ずしも適切ではないかもしれませんが,武○化学さんの説明では,確かそのようなことだったと思います.(ただ,詳細については企業秘密とのことでした)

質問 昨日解剖を行っていたところ、ストライカーの歯の不調にみまわれました。当院では昔ながらのストライカーを使用しています。でも、あまり作業性がよくありません。なにか良いもの(ストライカーに代わる)はないでしょうか。例えば、充電式の工具でコードレスであるとか、軽量であるとか、骨粉が舞わない等、情報がありましたらお知らせ下さい。

返信 ●当施設では白○松器械の電動解剖ノコを使っています。電源部と刃の部分が分離しているので刃の部分ごと水洗いできるのが特徴です。オプションで刃の部分に吸引フードを取り付けると骨粉等を吸い取ってくれるようになるみたいです。(未装着)サ○ラ精機でも似たようなのがあるようです。充電式にしたら刃の可動部と電源部でかなり重くなってしまいかなり腕力が必要になるのでは。バイオハザードに関してはアメリカがかなりすすんでいるのでアメリカのサイトで探してみたらどうでしょう。

返信 おっしゃるとおりかもしれませんね。最近の大工さんは、充電式ツールやエアツールを使用しているので、何か良いものはないかと思った程度です。

質問 最近は煩雑に都合よくローテーションが行われるようになりました。これも時代の流れというものなのでしょうか。

返信 時代はスペシャルよりもマルチを要望しているのでしょうかね(*_*)。

私は今年で勤続15年、病理暦も同様です。一般社会では、同一部署に15年もいると超ベテランのレッテルが貼られるようですが、自分にはそのような自覚は全くありません。病理という職種がそのように思わせてくれるのか、自分がそういうことに無頓着なのか、周りの同僚に聞いても同様の答えが返ってきます。確かに私も何度かローテーションをしたいと思ったことがあります。病理馬鹿はいやだ、と思っていました。だったら、違う部署で新しいことを覚えて自分の知識に厚みをもたせようと思ったことも何度かあります。しかしながら、実際に病理を離れるとなるとCTがいないために、院内の細胞診はどうするのとか病理システムの保守はどうするのとか、解剖はどうするのとか足を引っ張るものが多すぎて、他の部署にローテーションできないのが現状でした。そのような中、地域の精度管理業務に携わることでローテーションをすることなく、様々な部署が抱える問題や知識の吸収をすることができたのは不幸?中の幸いだと思っております。今では、臨床化学をはじめ細菌、輸血にいたるまで、その道のプロをいじめる楽しみが増え、病理に居ながらにして他部門の知識を吸収できる境遇に満足しています。もちろん、私どもは当直・日直もあり一般の検体に触れる機会は無ではありません。日々考えさせられることもしばしばあります。広く浅く。より広く、も

うちょっと深くをモットーに頑張っています。私が、病理に配属されて一番イヤだったことは、忙しくても周りの技師さんにはその忙しさが伝わらないことでした。なにかにつけて、病理はヒマそうだとか、同日内にかたを付けなくて良いから楽だね。とか。確かにそのような要素もありますが実際には忙しいし、ヒマなんかありません。染色の待ち時間だって中途半端だし、たくさんの書物を読まなければならないし・・・。医者とも協調路線でやっていかなければならないし・・・。など挙げたらきりがありません。病理技術者でなければ解からない悩みを抱えている方々も多いでしょうから、このメーリングリストがそのような人のためにも、何か役にたてれば良いと考えています。

質問 皆さんの職場では,検体受付の台帳とかは,どうされていますか?まだ,手書きですか?それともデータベース系のソフトなどを使って電子化されていますか?電子化されいてるとしたら,セキュリティとバックアップの関係とかは,どうされていますか?当院の病院病理科では,1年半ほど前より,ファイメーカーProを用いて,自作のデータ管理ソフトを作成し,今は,検体受付〜結果報告まで一応デジタル化されています(ただし,報告書は相変わらず紙の印刷物です)病理のデジタル化は,かなり前から,いろいろなところで,報告・討論がなされているとは思いますが。管理面(セキュリティとバックアップの関係など)が常に問題になるところだと思うのですが?

返信 当院では,病理の各部屋をネットワークで結び,その間にサーバーを置き,パスワードは3重にし,データのバックアップはCD-Rで行っています.だだし,密閉された状態でのネットワークではなく,CATVのLANなため,セキュリティが万全だとは言い切れません.また,未だコンピュータそのものが不完全な代物であることから考えると,データのバックアップということが問題になってくると思います.セキュリティとバックアップって,考えてみると,対極の存在のようにも思うのですが…。デジタル化することによって,便利になる反面リスクも増えると思うのですが…。

返信 当院では、七年前に私がマイクロソフトACCESSで作った、自作システムを使っています。申込み用紙などの帳票類は紙を用いて、画像(申込み・結果用紙等)は専用のファイリングシステムで行っています。両者のリンクはLANにて行っています。セキュリティーに関しては、自作システムであるためにリレーションを細かく区切った構造にしたので解読は難しいでしょう。ACCESSにはデータの暗号化をしてくれる機能もあります。また、古いACCESSを使用しているので、ファイルを盗んだところで閲覧できません。院内ネットワークにも接続していますが、ネットワーク自体のセキュリティチェックがあるのでおいそれとは入れません。もちろん、院外とは遮断されているので院内ハッカーがいれば別ですが、侵入はできないと思っています。病理は基本的にはスタンドアロンの方が安心といえば安心ですよね。私は、検査システムも受け持っていまして、これはNECのPC-LACSというラボシステムを使っています。こちらも、院外とは遮断されているので院内ハッカー以外は侵入できません。また、これはWINDOWS NT4.0 SERVERなのでセキュリティーチェックが甘い関係上、巷に流行っているウイルス系ソフトが侵入しても大丈夫なようにWeb関連のネットシステムは使わないようにしています。もちろん、電子メールも使用しません。ネット関連のイタズラはWeb関連のファイル(サーバに存在する)に対して攻撃するものが多いんです。もちろんニムダなどのウィルスには無効ですが・・・。そうしたら、この間、病院でウィルスソフトを配布してましたねぇ〜。

返信 当院では、電子化カルテにむけて病理部門の電子化を目指しています。一応、9月に実施をめざしていますが、多々の問題が........。やはり、セキュリティです。パスワードは2重で、電子印鑑(当事者だけ!)なるものをUSB接続によって初めて、入力出来るようにしています。プリントアウトは、誰が、何時何分にしたか記録に残るようにしているのですが,,,,,,。ソフトはファイ○メーカーProです。それだと、SEの方が不充分だと断言していました。「市販のソフトだと、やはり限界がある」と、患者属性は院内LANに頼っています。入口、出口にしっかりとした安全を!頭を悩ましているのですが。やはり、コストの問題が絡んできます。バックアップはCD-RWです。漠然として、把握しがたいと思いますが、良い案があれば・・・・

質問 免疫染色の手技でアドバイスください.cyclin D1の染色で、バック(細胞質)のうす褐色がスキットぬけてくれません.ニレイの希釈済み抗体を使っていますが、それを2倍、5倍と更に希釈して・・。 少しスッキリしてきたのですが・・とりあえず10倍とかそれ以上?もやってみるか! くらいしか思いつかないでおります. 試薬は、ENVISI○○“D○○OMAX-PO(MULT)レイで、バックのぬけに関して差はないようです.

返信 ●抗体の希釈に関してはメーカー希釈済みのものは通常濃いめなので多少希釈しても染まりますが、メーカー側ではあまりやって欲しくないようですね。希釈済みは冷凍保存ができないので、希釈せずに使って保証期間内に使い切り、新しい物に買い換えて行く方が安定した染色が可能かと思います。(あまり染色頻度が高くないのであれば、未希釈の物を購入して冷凍保存して、使用時希釈した方が良いかと思います。)あとは反応時間を短くして調整するというのはどうでしょう。ニ○○イの希釈済みということですが、実際はZYMED社の製品ですね。ちょっと不思議なのはZ○MED社のカタログにはクローンAM29はあるのですが、ZY-7D2は出ていないのですね。日本限定発売か?結構あやしいですね。●抗原賦活化処理を施していると思うですが、その処理時間を出来るだけ短時間にするとバックが下がる傾向があります。またcyclin D1に関してはクエン酸緩衝液のpHが6.0ではなく7.0の方が良いとしている論文もありますね。●cyclin D1のような核内抗原はもともと細胞質でタンパクが合成されそれが核内に移行して機能発現するのですが、腫瘍などのようにあまりに細胞質での合成が盛んになったり、核内移行が阻害されたりすると細胞質にも溜まって、細胞質にも染まってくることがままあります。最近p14を検討してますが、いろいろな施設の標本を染色すると核だけ綺麗に染まるところもあれば核と細胞質両方とも染まってくるところがあります。どうも固定条件によって染色性が変わるようです。

返信 早速にありがとうございます.そうか・・反応時間を短くする手がありますね.・・希釈しない方が良いんですかね.通常、一次抗体は1時間(室温)か、オーバーナイト(4℃)で反応しており他の抗体と同じステップで進めるために希釈済みのものしか手に入らない(?)抗体では我が家の至適濃度?!で反応させています(CAM5.2).抗体の希釈にはD○○Oの何とかいう緑色した3ヶ月以上は使えるとかいう希釈液を使っています.他の病院でもcyclin D1がどーもねー、ときいていて、バックが出やすい抗体なのかなーと、漠然と思ったりしていました.陽性コントロールと同じように陰性の切片の細胞質もうす褐色に染まってしまい、我が家はいまだ非特異を解決できない状態と思っています.抗原の賦活化はpH.7.0のクエン酸緩衝液でニ○○イさんのパンフレットの指示に従ってやっています.賦活化の時間の検討はその効果とのせめぎあいで見ていけば良いんですよね.やってみます.

返信 当院では,サイクリンD1は,IB○社&ダイ○○トロンのものを使ってまーす.clone名は,何だったかなー(?.?) 今,家なので分かりません…(忘れました)抗原賦活は,EDTA(pH8.0)でやっています.クエン酸緩衝液(pH7.0)は,抗原賦活用に作ってはありますが,まだ使ったことがありません.濱○さんの論文では,EDTAと同程度の賦活効果があり,かつ,切片にやさしいみたいですよねー…。確かに,EDTAを使うと,切片が剥がれやすくなるけど,“気合い”で染めています.サイクリンD1って,乳癌などの核にはよく染まるんだけど,マントルゾーンリンパ腫にはなかなか染まらないのよねー(?.?) 当院で,follicular lymphomaを除いたsmall medium sizeのB-cell lymphomaを100例近く染めたけど,核に綺麗に染まってきたのは,2〜3例でした.もっとも,この中のいったい何例がMantle zone Lymphomaだったのかは,分かりませんが,HE染色で,明らかにMantle zone由来と思われる症例でも,染まってこないものもありました.やっぱり,固定とか,様々な要因によって染色性が左右されてくるのだと思います.

返信 ●経時劣化によって再現性が保証されないということがわかっていて使用するのならかまわないかと思います。どれくらい希釈しても大丈夫かというのは、抗体、症例によっても変わってきますので、自分で検討する必要があるかと思います。Antibody Diluentですね。うちでも使っています。●当施設ではcyclin D(1)としてはUpXXtate Bio.(poly)、NovoXXstra(DSC-6)、PhamXXgen(G124-326)、IBX(5D4)、SXXta Cruz(poly)があります。この中ではNovoXXstra(DSC-6)が最も良かったような気がします。このDSC-6というクローンは比較的いろいろなメーカーで供給しているので比較的安心感がありますね。一般的に同じ抗原に対する抗体でもクローンが異なると染色性が変わることはままあります。逆にクローンが同じならメーカーが異なっても染色性はほぼ同じなので抗体を購入する時にはクローン名を選ぶことも大事ですね。ポリクロではロット差に気を付けて下さい。ロットにより染色性が変わってしまうことがあるので。> 陽性コントロールと同じように陰性の切片の細胞質もうす褐色に染まってしまい、我が家はいまだ非特異を解決できない状態と思っています.

●それは核に染まった陽性細胞の細胞質に薄く染まってくるばかりではなく核に陽性像がない細胞の細胞質にも染まってくるということなのですかね。核に染まった陽性細胞の細胞質が薄く染まってくることは結構あるのでそのことを言っているのかと思いました。そういう意味では細胞質だけ染まってくるようなことは無かったと思います。

返信 一次選択マーカー(vimentin,EMA,S-100,NSEなど)は兎も角,病理医によって,二次選択マーカー(より細かく分類するための抗体)はかなり異なると思います.例えば,内分泌系マーカーなどでは,CGAだけで終わってしまう先生もいれば,CD57,CD56,synaptophysin,neurofilament…等々,内分泌系マーカーといわれるほとんどをorderしてくる先生もいます.それで,三次選択マーカー(同定用)となると,また決まったもの(例えば,ユーイング肉腫のときのCD99,甲状腺髄様癌のときのカルチトニン…など)になってきます.だいたいのorderが,この一次・二次・三次選択マーカーのミックスとなっているのが当施設の現状です.keratinひとつとっても,KL-1,WSSだけの先生もいれば,それらを使わず,AE1/AE3とCAM5.2,34βE12という先生や,CK1,CK5,CK6,CK7,CK8,CK9,CK10,CK13,CK16,CK17,CK18,CK19,CK20という先生もいて(症例にもよるんでしょうけど…),とても複雑です.特に,当院の病院病理科の教授は,lymphomaが専門なため,lymphoma suspだと,必ず20種類以上のリンパ系マーカーを行います(当施設ではこれをリンパセットと呼んでいます).でも,大学・医療界の冬の時代といわれる影響でしょうか!?,当院においては,近年,新しい抗体をあまり買ってくれなくなってきました.しかたなく,新しい抗体は,病院病理科をはじめとして,各診療科の研究費で購入することが,多くなってきました…

今,市販で出回っている数限りない抗体から,必要かつ有用なものを選別・購入し,それを維持・管理していくのは大変ですよねー?そこで,皆さんに一つ提案があります.たまにしか使わないけど,適応症例が出たときは,ないと困るみたいな抗体(1本買ったら一生もんみたいな抗体),例えば,melanomaのHMB45,ALCLのALK/p80,骨肉腫のosteocalcin…などを,どこかで一本かったら,関係施設で分け合う(その代わりに,もらった施設は,そういったたぐいの抗体を買ったら,やはり関係施設に分配する)といったネットワークシステムを創ったらいいんじゃないかと思うのですが,皆さんどうでしょう!?また,“この抗体かなりいいみたいだけど,皆さん使ってみるー!?”みたいな…すぐにシステム化できるとは思わないですけど…まず,このメーリングリストを活用して,“うちで,こんな症例が出たんですけど,○●抗体どなたかお持ちじゃないですか?あったら少し分けて下さいませんかー?”とか,“うちで,こんな症例が出たのですけど,何かいいマーカーありませんかー?あったら少し分けて下さいませんかー?”ってとこから初めてもいいんじゃないかと思うんですけど…まっ,このメーリングリストにはメーカーの方も参加していらっしゃるので,メーカーの方にとっては,あまり喜ばしい話じゃないと思いますけど…(笑)

返信 ●良い提案ですね。神奈川病理などに症例を出すと、その一例のために抗体を買ったりするんですよね。そんな一回しか使っていない抗体がごろごろしていますね。あるいは使うつもりで買って、気が変わって未開封のものが...!!積もり積もっていまや抗体だけで500種類ですよ。複数本購入しているのがあるから600個とし、抗体1本○万円として○000万ですよ。随分メーカーに貢献していますね。

返信 まっ,最初は,このメーリングリストを使って,‘どなたか,○○抗体あるいはいいマーカーお持ちじゃーないですかー?’から始めたらいいんじゃないかと思うのですが…。発送手段は,やっぱ病院間メールですかね?(これが少し面倒ですね!)リアルタイムにするには,いろいろと問題があるかな?まっ,取りあえず,始めてみませんかー? いずれ,どこの施設にどんなマーカーがあるかをデータベース化出来たらいいでしょうねー!?(いろいろと問題はあるでしょうけど…)

返信 ところで免疫組織染色ですが、何処まで抗体を揃えるのかな・・って、考えています.我が家のような中規模の総合病院でもパラフィン切片で染められる抗体も増えて・・M.Lymphmaかも・・,Carcinoidかも・・とオーダーも増え手持ちの抗体の種類も増える一方です.病院の性格や病理医の関係はあるとして皆さんのところではいかがですか.

質問 今度の県学会にて,ご発表予定の演題抄録を拝読させて頂きました.“ホルマリン液に緩衝剤等の成分を混合するとアルデヒド成分の減少をきたす。”と,まとめていらっしゃいますが,緩衝ホルマリン固定の最低・最適固定時間はどれくらいだとお考えですか?

返信 すみません、今ホルマリンに凝っていまして蛇足的な発表になってしまいましたね。そのような訳でもちろんこの場で討論してもらっても構いませんよ。次回の神臨技神奈川学会の件ですが内容はといいますと、まさに上文のとおりです。発端はといいますと、ホルマリンはDNAのリン酸基を固定するのだから緩衝剤に含まれるリン酸成分とも反応してもいいだろうと考えたものです。実際に、リン酸ナトリウムを混合するとアルデヒド検出試薬であるシッフの吸光度が低下しました。まぁ、これを抄録としたものなのですが・・・。ご質問の件ですが、当院の20%中性緩衝ホルマリンでおよそ5%程度の減少(検量線からの算出)でした、つまり15%濃度が実情ではないかと考えています。従って20%中性緩衝ホルマリンに関しては従来の10%-20%ホルマリンの最適固定時間と同様に考えてもらって良いと思います。固定液中のホルムアルデヒド成分は通常でも過剰量が入っているので全く問題はないと思っています。時間についてはいろいろと考えられることがあります。もちろん、臓器等によってもまちまちだとはおもいますが、六時間あれば固定としては充分だと思います(当院では木製ブロックによる包埋のため厚めの組織が多い)。ちなみに、当院では生検材料は1時間程度のものも存在します(当院では翌日報告が基本なので)。ただし、10%中性緩衝ホルマリンについては、やはりアルデヒドの減少がみられるでしょうからかなり薄い溶液での固定になる可能性は秘めています。以前に銀染色で酸化時間の違いによる染色性の検証をある方と検討したんですが、固定時間(ホルマリン)の異なる検体では、酸化による組織破壊に要する時間が異なることがわかりました。内容は、固定時間の短いものは酸化時間を長くすると組織融解を招き、長時間固定されたものは長い酸化時間で処理をしてもさほど組織融解がみられなかったというものです。ホルマリン固定とは、メチレン架橋構造による蛋白質の三次元構造の変化ととらえて問題ないと思います。○○さんもご存知のとおり、化学結合においては安定な結合距離というものが存在します。ただし、実際の反応において、反応と同時に安定な結合距離になるのではなくある程度まで接近してそれ以降はジワジワと安定なラインに乗っていくのではないかと思われます。同様にホルマリンでの架橋やメチロールが生成は安定な分子間距離のポジションをとるまでには予想以上に時間がかかるものではないかと考えています。もちろん、時間が短く最も安定な分子間距離になっていなくても病理診断においては問題ない場合が多いと思います。

返信 ご回答ありがとうございました.詳しいことは,学会発表のときにお聞きすることにします.当施設でも20%緩衝ホルマリンをルーチンおよび解剖の固定的に使っております.もっとも,自家性ではなく,日本ターナーの“マスクドホルムPH”というのを用いています.1990年頃,PCNAの技術的な検討をしていたところ,固定液としてはPFAまたは緩衝ホルマリンがよいという結果になり,それ以来,緩衝ホルマリンを使用しています.その当時は,MIB-1とかが出る以前,しかも熱湯・加熱処理による抗原賦活化が発表されていない(定着していない)時代でしたので,PCNAが前処置なしのホルマリン固定パラフィン切片で検出出来る唯一の増殖細胞マーカーでした.それまで用いていた非緩衝ホルマリン(ホルマリン水)では,PCNAの反応強度が非常に弱く,しかも固定時間に左右されるということが分かりました.一方,緩衝作用を持たせたホルムアルデヒド系固定は,反応強度も強く,またあまり固定時間には影響されないということが分かり,それ以降は,ルーチンの固定は緩衝ホルマリンに変えました.今は加熱処理による抗原賦活化という技術を使うことにより,PCNAの検出感度を劇的にUPさせることが可能ですが,PCNAはG0期にも少量存在(G1後期〜S期に増加する)するため,加熱処理を行うとほとんど全ての細胞に染まってきてしまい,増殖細胞マーカーとしては厳しいものがあります.もっとも,生の状態のうちにまたは未固定凍結切片を,界面活性剤処理し,その後,固定してから染色するとS期細胞(複製フォーク・リーディング鎖上にDNApolymeraseδの活性補助因子として存在するPCNAは,強固なcomplexを形成しており,界面活性剤処理に抵抗性を有する,一方細胞核内に遊離の状態で存在するPCNAは,界面活性剤処理により細胞外に流失してしまう)を選択的に染色するが可能です.人間様の検体に関しては,増殖細胞マーカーは,PCNAからki-67(MIB-1)にとってかわりましたが,実験動物などの検体では,PCNAはまだまだ現役だと思われます.(MIB-1は基本的に人間以外には使えない,ただし,MIB-5は動物でも一応使える)ちょっと蛇足でした.

返信 MIB-5はラット、TEC-3がマウス用としてD○○O社からでていますね。以前にMIB-5の論文を書いた時にはまだTEC-3が市販化されていなかったので強引に強い賦活化をかけてマウスで検討しましたが、なかなか綺麗に染まりませんでした。それに較べてTEC-3は比較的安定していて染色が容易なのでこれからマウスの増殖マーカーとしてスタンダードになりうる要素をもっています。今実験検討中で年内にまとめられたら良いなと思っています。細胞レベルだと一週間以上GOに止めていた細胞でもPCNAは半数以上で検出されます。細胞レベルだと増殖とは無関係なマーカーですね。人の増殖マーカとしてはDNA Topoisomerase II (MBL社)もいい感じですね。以前は凍結切片でしか染まらなかったのですが、昨年パラフィンでも染まる抗体が発売されてちょっと染色してみましたが、よくMIB-1と相関する感じです。MIB-1よりも安定感があるかんじです。しかしMIB-1に較べて悪くはないがすごく良くもないという点で、今のところMIB-1で染色がうまくいっていないという施設以外が乗り換えるメリットが少ないのが難点かな。ちょっと蛇足の蛇足でした。

返信 緩衝ホルマリンで固定しておくと,電顕にも使えるということですが,実際に試したことはありません.どうなのでしょう?また,一時期,電顕が必要なるかも知れないことを想定して,中性緩衝ホルマリンに少々のグルタールアルデヒドを添加(1〜2%グルタールアルデヒド・4%ホルムアルデヒド・0.1Mリン酸緩衝液pH7.4:カルノフスキー固定の変法みたいなもの.原法はもっと,グルタールアルデヒド濃度が濃かったような気がする…)し,固定・そのまま冷蔵庫に保存しておき,必要になったら,電顕用に処理するということをやっていたことがあるのですが,3万倍くらいまではOKだったと思うのですが…(結構いい感じ!)グルタールアルデヒドって,ジアルデヒドなので,遊離のアルデヒド残基が残るとかで,PASとかには不向きとか言われていたと思うのですが,僕的には,腎生検とかで,かなり薄く切った切片でもシャープな染色性を示して,逆にいいんじゃないかと思ったんですけど…。どないですか?

返信 よく存じ上げておりました。たしか、臨床検査という雑誌にも投稿しておられましたよね。同時期に私もPCNAを染めていました。当院は昔から武○化学の20%中性緩衝ホルマリンを使用していたために、NOVOのPCNAの染め上がりはとても美しく非常に良い抗体だと感じていました。もちろん、○○さんの検討も十分に参考にさせていただきましたよ。でも、まさか中性緩衝ホルマリンが良い結果を導いていたとは思ってもみませんでした。PCNAの話はとても勉強になりました。当時は○○さんの名前だけはよく知っていましたが、まさかこのような形でお付き合いするとは夢にも思っていなかったし、○○さんがこんな人間だったとは思ってもみませんでした(;_;)。話戻りま〜す。中性緩衝ホルマリンについてはあまりメリットを感じたことはありませんでした。もちろん、当院では、他施設の標本を染色するような施設ではないので固定液による比較もわかりづらい状況です。でも、今回の話をみると免疫染色に関してメリットはありそうですね。いつも思うのですが、いろいろな発表(自分も含めて)で固定液を意識しているものは少ないように感じられます。よく、病理の検討はfactorが多すぎて再現性が悪いという人もいますが、一番重要な固定についての意識が少し低いためにfactorが増えてしまうことも考えられますね。かくいう私も固定については、あまり人に誇れるわけでもなく、良い機会なのでいろいろ検討してみようかと思った次第です。ホルマリンについてはいろいろと文献を集めています。もちろん、いろいろな物質との反応がその中には書かれています。このメーリングリストで少しずつ皆さんに紹介していきたいと思っています。いろいろな物質との反応を一つ一つ調べていくことで、ホルマリン固定の機構がもう少し解かるようになるかもしれませんね。

返信 >電顕にも使える・・・。ダメですね。当院でも導入当時はそのようなことも考慮して緩衝ホルマリンに変えたんですが、予想以上に組織破壊が大きくてメリットは感じられません。グルタールアルデヒドの構造式は OHC-CH2-CH2-CH2-CHO であり二つのアルデヒド基を有するジアルデヒドの物質です。ちなみに構造式ではCH2(CH2CHO)2と示されているものもありますね。この二つのアルデヒドがε-アミノ基と反応して蛋白質の巨大架橋を形成するとされています。かたやホルマリンは H-CHOと一つのアルデヒド基をもつモノアルデヒドの物質です。分子量の違いから細胞の透過性にはホルムアルデヒドのほうが優れているとされています。が、架橋形成が低分子であるために蛋白質がブツブツと引き千切られてあの無残な細胞形態となります。逆にグルタールアルデヒドは両端に反応基をもつために、例えるなら鎖で蛋白質をガチガチに固めてしまうような状態となります。また、膜に存在するリン脂質(中の一次アミノ酸)とも反応性が良いために膜小遺贈が破壊されないのでしょう。このグルタールアルデヒドの反応は糖蛋白などとの反応性は良くないようで、これらは未反応のまま露出しているようです。巨大架橋といっても、現実には非常に小さいものであるので実際に見える訳ではないのであくまでも憶測的解釈をすると、遊離アルデヒドとはグルタールアルデヒドの一方のアルデヒドが蛋白と結合し、もう片方がピラピラと遊離している状態を言っているのかよくわかりませんが、そのようなことは数的にも非常に少ないのではないかと思われますね。それに、ピラピラとしているくらいなら何処かにくっついていると考えたほうが自然ですね。○○さんが実際にPAS染色を行ってみて問題がなかったのですから、やはり遊離のアルデヒドは存在しづらいのではないかと思いますよ。

質問 1.銀染色で使用する鉄みょうばんを溶かすと白い沈殿物がみられます。  これはいったい何なのでしょうか。2.また、新染色法のすべてでは鉄みょうばんは10%濃度を作製し、使用時に1容 10%鉄みょうばん9容 蒸留水で使用と書いてあるが、これは10%濃度のものを作製して保存ということで良いのでしょうか。

返信 2.は「新染色法のすべて」のミスプリントだろ〜ね。この比率で希釈すると1%濃度になっちゃうね。

●そうですね。4容 蒸留水と考えるのが自然ですね。他の本では1.5%というのもありました。●鉄ミョウバンを溶かした際に溶けないで白い沈殿物が残留するということなのですかね、それとも溶けたけどしばらくすると沈殿物が析出してきたということなのですかね。10%の保存液で置きっぱなしにしておくと結晶が析出してくることはよくありますが。一番考えられるのは試薬の劣化ですね。うちの鉄ミョウバンも何やら瓶を覗くと黄色いカビみたいなものが付いたものが混じっていますね。硫酸鉄かな?●薄い切片だと鉄ミョウバンを長めにすると良い場合がありますね。ところで鉄ミョウバンって水が12水もくっついているのですよね。FeNH4(SO4)2.12H2O分子量が482だから水が45%も占めることになりますよね。結晶水を溶媒と考えると100mlの水で10%にするには(266/485x)/(100+216/482x)=0.1  x=19.7g となりますよね。水に10g溶かすのか、19.7g溶かすのか悩んだ事ありませんか?病理を始めたばかりの初々しい頃、とても悩んだ末にある人に聞いたことがあるのですが、その答えというのが、「10gに決まっているじゃないの、病理はそんな細かい計算はしないのよ!」という明瞭な回答だった。その時私は病理のすばらしさに目覚めました。

返信 そう言われてみると、新品の鉄みょうばんでは出ないような気が・・。ちなみに当院では、毎回毎回2%鉄みょうばんを作っています。これも、妙なこだわり・・・。(;_;) 「●鉄ミョウバンを溶かした際に溶けないで白い沈殿物が残留するということなのですかね、それとも溶けたけどしばらくすると沈殿物が析出してきたということなのですかね。」前者だと思いま〜す。鉄みょうばんの成分について調べてみました。Koso Chemical Co., Ltd 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水 Ammonium Iron (III) Sulfate 12-Water, G. R. FeNH4(SO4)2・12H2O  FW: 482.19 Assay: Minimum 99.0% Maximum Impurities Chloride (Cl) ------- 5ppm, Nitrate(NO3) -------- 0.005%, Phosphate(PO4) ------ 0.001%, Sodium(Na) ----------  0.01%,Potassium(K) --------  0.01%, Copper(Cu) ---------- 0.002%, Magnesium(Mg) ------- 0.001%, Calcium(Ca) ---------  0.01%, Zinc(Zn) ------------ 0.003%, Lead(Pb) ------------ 0.001%, Manganese(Mn) ------- 0.005%, Iron(II)(Fe2+) ------ 0.001% カルシウムの混入率が高いような気がします。塩化カルシウムなんかが考えられるかな〜なんて思ったのですが、この量なら溶解しそうですね。沈殿するくらいだから錯体なんかが考えやすいかもしれませんね。

>「10gに決まっているじゃないの、病理はそんな細かい計算はしないのよ!」

>という明瞭な回答だった。その時私は病理のすばらしさに目覚めました。

あります、ありますそういうの(^_-)2ml入れるのにホールピペットを使ったり、緩衝液をつくるのにメスフラスコをつかってみたり・・・。まだ、まだ病理の奥深さに気づいてないころの話ですね。今なんか、メスシリンダーすら使わないこともしばしば・・・。銀液の沈殿物をアンモニアで消すのに滴定のように一滴一滴おそるおそる入れてみたり・・・。慣れ(経験)とは恐ろしいものです。そうして育てられたせいか、当院検査室の気風か、随所にミョウなこだわりが多く残っていますね。はやく直していかなければ・・・。また、皆にバカにされてしまう・・・。(^_-) 話変り この間、緩衝液作りの依頼がありまして、私の秤量技術+メスシリンダーでのメスアップ技術でばっちりでした。信用してもらえないので、pHをはかってみたくなり、臨床化学の人には内緒で血液ガスの機器で測定してしまいました(内緒ないしょ)。(当院には簡易pH測定機器がありません)

返信 追伸です。白い沈殿物は、少し加温すると消失するようですよ(^_-)

返信 ●放置して冷えるとまた析出するのですかね?気になるならろ過して使用すれば良いのですかね?

返信 当院では、沈殿していようが、していなかろうがお構いなしに染めています。でも、染まりにはまったく問題ありません。おっしゃるとおり、気になるならろ過すればなんら問題ないですね。当院では、鉄みょうばんは毎回溶かして使用しており、保存液を希釈する方法は行っていません。お昼の前にできる限り溶解して(ミキサー使用)放置しておくと、午後の仕事が始まるときには解けています。容器は100mlの大きな試験管を使用しています。過マンガン酸カリも使用時に溶解しています。これも溶けにくいので同じようにしています。

返信 鉄みょうばんの容器のラベル、変色して破れがあったりして確かに 古かった!です.始めて作った人が“溶けませーン!”“2%でもだめですー!”“温めたら・・変ですー!“???本見ても“溶けにくい・・”風な事どこにもないし・・今日染めたいし・・で、神頼みでした.アドバイスもらって 沈殿物有り で染めてみて、染まりました!今までも溶けなかったり?沈殿物あったりしたんですね、新しいボトル届いたら・・お試ししてみます.謝謝

返信 鉄みょうばんについて調べてみました。鉄みょうばんFe(NH2)(SO4)2・12H2O 式量482.2ミョウバンの一つで、習慣的には鉄みょうばんはFeK(SO4)・12H2Oを指すが、市販品では多くこのものを鉄ミョウバンといっている。無色〜淡紫色。立方晶系の正八面体結晶。密度1.732g cm-3(18℃)。融点40℃。風解性がある。150℃でほとんど0.5水和物となり、230℃で無水物となる。水に易溶。硫酸鉄(II)と硫酸アンモニウムの混合水溶液に硫酸を加えて電解酸化してつくる。水溶液は酸性で収れん性がある。媒染剤、医薬品として用いられている。との記載でした。問題はこの風解性です。ちなみに風解性も調べてみると・・・。風解(efforescense)水和物の結晶が空気中で自然に水和水の一部または全部を失って壊れ、粉末になる現象。たとえば、Na2SO4・10H2Oを乾いた空気中に置くと水蒸気を放って分解しNa2SO4となる。この2成分系では、固相が2相で水蒸気相とあわせて3相となり、相律による自由度は1となる。従って、温度一定では平衡における水蒸気の分圧は一定となる。空気中の水蒸気分圧がこの一定値より低いときに風解が起こる。化学辞典 東京化学同人出版よりとなっています。従って古い試薬の粉末は硫酸鉄などが考えられますね。ただし、この物質は水に溶けます。溶解液の白い物質がこれである確証はありません。

返信 新しい鉄みょうばんは・・透明感のあるうす紫の結晶で出来上がった10%溶液は赤紫色でスッキリと溶けきって・・美しかった!です.年代ものの鉄みょうばんではスターラーの回転を追って いつまでも粉末状のものが動き回り液も濁った感じで・・溶けない!と思ったのですね.・・結晶が溶けるときに、何か水に不溶性の物質が生じた、と言う事なのでしょうか.また,出来上がった溶液の保存中に生じる粉末状のものも同じ物質らしい・・のですか.飽和溶液とかの結晶の析出とはべつもの? でも温めて消えるのなら再結晶化?化学だなー!と感激・・古くなって“劣化”するんですよね.20年以上前のミクロトームや 20年近いフリーザーなどと付き合っていて“古いもの・・当たりまえ、平気!の病理”のヒトになっています.

返信 20年もの、「あたりまえ〜」な世界です。でも、最近は20年ものに最後の一撃を加えて平成ものにするテクニックがついてきました。だって、半端に動いてちゃ買ってくれないだもん。(^_-)かくゆう私もあと5年で20年ものに・・・。一撃を入れられないように注意しなければ・・・。(- - ;)鉄ミョウバンについてはもう少し調べてみますね。媒染なんていってもどのように機能しているか今一わかりづらいですよね。

返信 鉄みょうばんについてですが、古くなって析出する物質はFe(NH4)(SO4)2単体と考えて良いようです。鉄みょうばんを適当な容器にいれてオーブンで焼いてやると、結晶水のとんだ”焼き明礬”になると思います。古い鉄みょうばんで溶解しない物質に関してもこれと同様だと思われますが、焼き明礬を作って水で溶解してみないとなんとも言えません。もしも、溶けなかったらその可能性が高くなってきますね。

質問 「骨髄顆粒球系細胞のためのDFS染色法」の原理をご存知でしょうか?今度の休みに文献を読みに行こうと思っているのですが、ペルオキシダーゼ染色の代用にはなりませんか?もしご存知でしたら、教えて下さい!

返信 やったことがないので文献的なことしか分かりませんが、原著(病理技術42;6-8;1990)を見るとペルオキシダーゼ染色に較べて陽性細胞が多くなる傾向にある。分葉好中球がより強く染色される。肥満細胞が染まる。という点でペルオキシダーゼ染色と異なるようです。中でも好酸球を特に強く染色するために好酸球顆粒染色として発表しているものもありますね。(臨床病理30;1137-1141;1982) 原理ですが、あまりハッキリ分かっていないと言うのが現状かと思います。染料のスルフォン酸基と顆粒との間のイオン、もしくは静電気結合と推察される。との記載くらいしか今のところ見あたりませんでした。(Stain Technology 56;323-325;1981)

返信 酵素反応に比較して、化学反応が主体となる染色はどおしても非特異的な反応を伴ってきてしまいます。酵素のような基質特異性があれば、目的物としても良いとは思いますが・・・。なにせ、色素・蛋白質の結合ですからちょっと不安が・・・。

返信 お聞きした理由なんですが、先日提出された骨髄生検で、POD染色をやってくれないかと言われまして。私は組織でPOD染色はやったことが無いのですが、凍結切片なんですよね?困ってしまいました。同時に実施した骨髄穿刺の方でPODをやっていたので、仕方が無いのでその標本をお借りしようと考えたのですが、何か出来ないかなと思って染色の本を見ていたらこの染色が載っていました。染めてみたら、きれいに顆粒が染まってくれました。しかし、見た本には原理が書いてなく、PODとの違いや特異性など疑問点が多いので、どうしようかな?と思い、質問させていただきました。代用にはならないみたいですね。あきらめます。

返信 ●ペルオキシダーゼそのものを検出する、あるいは定量性を求めるなら不適当でしょうが、粒球系、リンパ球系の鑑別として、前回示した違いというのを理解した上で使うなら代用にもなりえるのではないでしょうか。

返信  めったに開かないもので、皆さんのメールのやりとりの熱心さには敬服いたします。私に答えられるものは何もありませんが一言。原理については全く言及できませんが、DFS染色やコンゴーred染色はずっと昔からアミロイドの染色のみならず好酸球を染め出すために用いられております。また、POD染色をパラフィン切片ではどう見ても無理です。ナフトールASD染色などで顆粒球を染色するとか免疫組織学的に抗体を用いて染色するなどの代用が可能かと思います。こんなんでいいの?何よりアバウトが一番です!!

返信 あと,必要なのは,“気合い”と“愛情”ですかねー(^.^)V

返信 もっと昔には、コットンやシルクなんかを染めていたようですよ。(^_-) 当院ではナフトールASD染色で顆粒球を染めています。ナフトールASD染色では、基質の具合もさることながら、溶媒のN,N-ジメチルホルムアミドの劣化が染色性に大きく影響しますね。当院では結構頻繁にN,N-ジメチルホルムアミドを新調しています。そんな兆候ありませんか?

質問 先日いろいろありましてシッフ試薬を自作してみることになりました。でも、どうしても紫色が消えません。市販のように無色になりません。教科書通りに作ってはいるのですが、どうしても透明になりません。一体これは何故なのでしょうか。塩基性フクシンはニューフクシンとパラローズアニリンの両方別に作ってみました。活性炭をいれてもダメでした。ぜひアドバイスを・・・(;_;)

返信 ●まずホット(?)シッフであるという前提でお話します。50度以上の温度でろ過操作をすると過剰にフクシンが混入して赤くなります。次に1N塩酸を加えるのが濾過後でないとやはり過剰のフクシンが溶解してしまいやはり赤くなる。本によってみんな混ぜてから濾過すると書いてあるのがあるがそのようにすると赤くなりやすい。染色法のすべて(第2版)などはちゃんと書いてあるのでお奨め。

返信 現在上記方法にて作製中です。塩基性フクシンはク○マのダイヤモンドフクシンを使用してみました。経過は順調(^_-)二三日後が楽しみ・・・。ちなみに失敗続きはコールドです。

返信 シッフ作製計画、失敗に終わりました。やはり褐色〜紫色は消失しません。おそらく、これで活性炭を入れても結果は同様でしょう。どぼじでなの(;_;)

返信 かなり昔(1978年)にいろいろなメーカーの塩基性フクシンでシッフ液を作って比較したデーターがありますが、それによるとchromaのDiamont fuchsin は72時間経過後も赤味がとれず不可となっていますね。ちなみにその時良好であったのは14種類中以下の3種類でChroma Parafuchsin, 東京化成 塩酸パラローズアニリン(ロット違い2種)でした。それから随分時間も経っているので一概には言えないと思いますが、色素に問題があるのではないでしょうか。

返信 通常塩基性フクシンというとローズアニリンとパラローズアニリンの混合物であり、パラローズアニリンの割合が高いほど染色性は良いようである。しかしパラローズアニリンとして市販されている製品でもパラローズアニリンメチル誘導体の混合物のものもあり、同じ製品でもロット枚に異なることは珍しくないようである。しかも簡単にパラローズアニリンの純度を検定する方法もなく、実際に作ってみるより手がないのが実際です。この辺が昔からみなさんを悩ませてきた原因であろう。グロコット染色(理論その3)に書いてあるROSANILIN (MAGENTA I)(CI) [C.I. Basic Violet 14] C.I. 42510はMerck社の技術書によるとシッフ試薬に適さず、PARAROSANILIN (MAGENTA O) [C.I. Basic Red 9] C.I. 42500の方を薦めていますね。

返信 これってどういうことなのでしょうか。塩基性フクシンとは、いろいろな色素の混合物なので、その割合というか、混合されている物質の種類によって違いがあるということなのでしょうか。

返信 わざわざありがとうございます。やっぱり、塩基性フクシンが悪いのですね。まあ、使用した色素もかなり古いものが多いので当時のままだと思いますが・・・。買ってくれるようなら、試してみようかな・・。でも、実際にシッフを作ってみると面白いことがわかりますね。塩基性フクシンによって発色に明らかな違いがありました。紫色〜赤褐色までさまざまでした。武○化学の色調に見慣れている私にとっては非常に刺激的な経験でした。また、作製時に重亜硫酸を過剰に混合すると褐色に近くなるということもわかりました。現在私はシッフに凝っていまして、酸化などに関しても実験しています。結論はといいますと、過ヨウ素酸で酸化したものだけが赤色発色します。過酸化水素で酸化した場合には、無酸化でシッフ試薬と反応させたものと大差ありません。過マンガン酸処理のものは強い紫色を呈するが選択性に乏しい。というような具合でした。今考えられることとしては、生体でのシッフ反応に関しては酸化処理をして発色させる手法となっています。この酸化は過ヨウ素酸以外ではだめなのです。つまり、書物に書いてある過ヨウ素酸の役割とは単なる酸化ではないと考えられます。何故ならば、単なるOH基の酸化ならば過酸化水素による酸化でも発色してこなければならないからです。シッフの原理としていろいろ書いてありますが、それが本当なのか今一つ疑問に感じてしまいます。もちろん、以前にこのメーリングリストで紹介したシッフの原理に関しても成書からの引用から解釈したものであり、私自身としては疑問点の塊のようなものでした。現在実験を通じての見解はというと・・・。どちらかというと、隣接すOH基を有する炭素-炭素の結合を切断し、切断された結合の手に何らかの物質(例えばヨウ素酸)などが介在することで切断が保持されていると考えたほうが自然なような気がします。(あくまでも個人的見解です)

返信 やっぱ、なかなか透明にならないかー(‘.’)!?‘気合い’が足らないんじゃないのー!?次亜塩素酸を入れれば、きっと透明になると思うよー(^.^)V それでもダメなら、酵素パワーの‘トップ’とか入れてみたりしてー(~.~)!!!塩基性フクシンやパラローズアニリンも、ワインと一緒で、とれた場所・年代・製造方法などによっても違うんだろうか?(でも、市販のシッフは常に透明なので、やっぱ裏技があるのでごじゃろうー(-.-)!?)

返信 先ほどのメールでPAS染色の酸化剤について少し触れたので、あれこれ考えてみたいと思います。だいたい、なぜ酸化剤に過ヨウ素酸を使うか不思議に思いませんか? 他の酸化剤じゃダメなの? 答えを調べてみました。

過ヨウ素酸は、酸化という作用があります。これがチョット特殊な作用をするのです。酸化の機序はといいますと・・・。1,2-ジオールの壊裂作用が鍵となります。これは

   - C - C -  HIO4    - C  -   C -           - C = O  O = C -

     |   |    ----->     \ /     ------->   |          |

     OH  OH            O = I = O               H          H

   (ジオール)              |

                           OH          + H2O + HIO3

           (環状過ヨウ素酸エステル中間体)

という機序となっています。つまり隣接しあうOH基を有す炭素-炭素の結合を切断する役目があるわけです。では、この反応は隣接OH基にのみ起こるのかというと、そういうものでもないようです。過ヨウ素酸による壊裂反応は、マラプラード反応(Malaprade reaction: 1928年発表)といい2-アミノアルコールでも起こるとされています。

   - C - C -  HIO4    - C  -   C -           - C = O  O = C -

     |   |    ----->     \ /     ------->   |          |

     OH  NH2           O = I = O               H          H

 (アミノアルコール)        |

                           OH          + NH3 + HIO3

             (環状過ヨウ素酸エステル中間体)

この反応は

  - C - CH2 - C -

    |         |

    OH        OH orNH2

では起こりません。また、二つのカルボニル基隣接した位置にあるαジケトン、αケト酸やカルボニル基とヒドロキシル基が隣接しているαヒドロキシケトンなども過ヨウ素酸と反応するが、カルボニル基側はカルボン酸となる。この理論からいくと、アミノ酸ではセリン・トレオニンなどが対象となります。もちろん、ある種の糖タンパク質は対象になります。ただし、実際にPAS染色でこの反応が最終生成物まで到達しているかはわかりません。酸化時間を長くしたり、過剰な量で酸化するなどの検討を行ってみないと確かなことは言えません。また、単なる酸化という概念で過酸化水素や過マンガン酸カリウムなどを使用しても壊裂にはいたらない可能性が高いです。ただし、過マンガン酸に関しては無機化合物であるためにマンガンの作用によって違った形の反応を起こしている可能性は否定できません。

返信 他の酸化剤じゃダメなの? 次亜塩素酸とか(^.^)?

返信 まじめに答えていいですか?(ーー;)恐らくダメでしょう。先ほどのメールにも書いたように

   - C - C -  HIO4    - C  -   C -           - C = O  O = C -

     |   |    ----->     \ /     ------->   |          |

     OH  OH            O = I = O               H          H

   (ジオール)              |

                           OH          + H2O + HIO3

            (環状過ヨウ素酸エステル中間体)

環状過ヨウ素酸エステル中間体生成時のヨウ素の振る舞いが重要でしょう。よく図をご覧下さい。ヨウ素-炭素の二股になっている結合部分が鍵となりそうです。炭素-炭素の結合は作るときにも苦労しますが、離すときにも非常に苦労します。勝手な解釈ですが、反応について説明させてもらうと、ジオールの片方の水酸基に対してヨウ素が結合します。けれどもヨウ素はまだ結合する余力を持っています。すると近くに結合できるような元素を探すわけです。その影響力の及ぶ範囲が炭素-炭素の結合距離と相性が良いのでしょう。つまり、隣のもう一つ先にある水酸基までは手が届かないと考えられます。そして、隣接する水酸基を押しのけて炭素-ヨウ素-炭素の三角関係を築き上げます。人間でもそうですが、三角関係なんて成立し得ない状態ですよね。原子も同様です。三角関係になることによって、炭素と炭素同士は仲が悪くなります。つまり、結合が切れる。そして、どちらと結合するとも決定できないヨウ素は二人の炭素から離れていく・・・。そして、切り離された炭素及び炭素は自らがアルデヒドを形成していく。これが、この反応のメカニズムです。(まぁ、そこには電子遷移などの機構が発生するのですが難しいので説明しません)う〜ん、何か人間関係にも似ている・・・。ですから、炭素-炭素壊裂によるヨウ素-炭素の反応には愛があるんですね。正確には愛があったんですね。(^_-)次亜塩素酸の場合には二つの原子間を横恋慕する能力のある無機原子が存在しないので三角関係が成り立たないのです。つまり、酸素を供給するだけの酸化では炭素-炭素の結合を切断できないと考えられます。

質問 わたくしの経験ではございませんが、武○のコールドシッフで室温にしばらく置いていたら白濁してしまったそうです。わたくしもそんな事をはじめて聞くものですから、変なもの入れた?と聞いたところ「いれてないっす」とかえってきたので、たぶん変なものは入っていないと思います。これってなに?(@_@)?こんな経験ありますか?

返信 私は、このような経験は一切ありません。本日、念のため確認試験を行ってみました。概要は、シッフ試薬をマイナス20℃まで冷やし凍結させる。その後、室温に放置して、白濁の有無を確認するというものです。ちょっとした手違いでコールドではない点と仕事の合間で観察したために経時変化がランダムです。結果はというと、白濁をみとめませんでした。ということで、原因は他にありと思われます。最近趣味的にシッフ試薬をつくったりしていたんですが、そもそもシッフ試薬というものは、非常に限られた成分から構成されています。皆様ご存知のとおり、組成は塩基性フクシン、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸ナトリウム)、塩酸、水です。ここで、白濁の原因として一番考えられる成分としては、やはり重亜硫酸ですね。武○化学ではこのどちらを使用しているのかはよく解からないのですが・・・。化学辞典で調べてみますと・・・。亜硫酸水素ナトリウム[sodium hydrogensulfate]=重亜硫酸ナトリウムNaHSO3 MW104.06、亜硫酸ナトリウム[sodium sulfate] Na2SO3 MW 126.04特記すべき性質はないのですが、どちらもエタノールに不溶という記載があります。やはり、白濁の原因としてはエタノール等の混入が一番考えやすいですね。ちなみに、これに関して実験をしてみました。コールドシッフ(武○)にアルコール(当院ではエタノール・メタノールの混合アルコール)を加えていくという単純な実験です。結果は、見事は白濁いたしました。ただし、若干ピンク色がでてしまいます。このピンク色についても面白い考察ができます。シッフ試薬にアルコールを加えることによる白濁及びピンク色の着色は、それぞれ別の機構から成立する。白濁に関しては、前文に述べたように亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸ナトリウムはエタノールに不溶なため、混入されたエタノールにより不溶化を起したものと考えられる。ピンク色の着色は、アルコールによる希釈によって混合液全体のpHが上昇することにより、シッフ試薬はアルデヒド基との選択性が減退する。そして、アルコールのもつOH基と反応し波長550nmの赤色を呈する。です。あと他に考えられる原因としては、何らかの無機物質(金属系)が混入したということですね。亜硫酸や重亜硫酸の-SO3基は配位子として成立し得ます。つまり、何らかの金属イオンが存在した場合、中心金属-配位子の結合つまり錯体を形成しやすい特徴があります。ただし、錯体を形成した場合にはその分子が非常に巨大となるために、白濁物質が沈殿してくる可能性が高いと思われます。白濁のしかたや本当に混入がなかったかを再確認する必要があると思います。こんな感じでいかがでしょうか・・・。

質問 皆さん,免疫染色(酵素抗体法)の陽性コントロールとか,どうしています?免疫染色やって,これはいい標本だとか,これは珍しいとかで,いっぱいパラフィン切片を切って,未染のままとっておいても,暫くすると染まらなくなっちゃう(?.?)(特に表面マーカーなど)って経験ありませんかー 全てのマーカーがダメってわけじゃーないんですけどどうして染まらなくなっちゃうんでしょうか?噂では,風化しちゃう?とか,変性しちゃう?とか聞くんですが本当のところはどうなんでしょうか?もしかしたら,周知の事実で,理論(原因)とかも分かっているのかも知れませんが,僕は何故なのかよく知りません.なんで,ブロックでとっとけば大丈夫なのに,切片にするとダメになっちゃうの!?

返信 MIB-1も有名で一月くらいでだめになりますね。●-20℃とかに保存しておくと少しはもちがいいのですかね。●AMeXなんかブロックも4℃で保存しないと失活すると脅されていますね。最近、ベルトコンベアを使った大量生産方式が見直されています。商品のトレンドが流動的で時代のニーズにすぐに対応するために一つの製品を一人で全て作るような個製産方式に切り替える企業が後を絶ちません。切片も大量生産は時代が許さないのでしょう。

返信 って言う話しですよね。なんか窓側において光に当てると悪いなんて話も聞いた事もあります。わたくしも原因まではわかりませんが、貴重な症例などは切片ごとパラフィンにつけてカバーなんぞして、箱につめてしまうなどはいかがですか?これだと、面を出すぶんすこしロスしてしまうので薄くて少ないやつは非常にキビシーですよね。

返信 私、これ本気で検討しています。(^_-)V 時間のかかる検討なので、まだ結果は出ていませんが・・。

返信 本気といっても早急に結果を出すものでもないので、共同研究も良いですね(^_-)。抗原の失活に関しては、推察する部分も多く存在します。その原理的な部分のだいたいの見当をつけてはいるのですが・・・。まぁ、中間報告の一報はこの会に入れます。

質問 皆さん、顕微鏡の写真とかどうされています?まだ、35mmフィルムですか?当院では、2〜3年前から、FUJIのHC2500という顕微鏡撮影用デジタルカメラとピクトログラフィーという印画紙にデジタル出力するプリンタを導入したので、フィルムで撮影することが少なくなって来ました。でも、こんなに高価(約4〜500万円)なものを導入しなくても、市販のデジカメでも顕微鏡の写真が撮れるってことは、数年前からいわれてますよねーそこで、僕も市販のデジカメ(SONY DSC-P5)で、撮影してみました。マクロ撮影モード、テレ側で撮影したら、結構いけます。ちょっと、コントラストが低い気もするけど、コンデンサーやフォトショップなどで調整すれば、大丈夫だと思います。皆さんもよかったら試してみてねー(^.^)V

返信 ”デジタルカメラの病理への利用について”に関しては1997年の臨床衛生検査学会で発表したのが多分一番最初の報告だと自負しています。その時にデジカメのレンズを顕微鏡の接眼レンズに直接つけて撮れるということに触れましたが、後にその方法に何とか言う人の名前が付いていました。検査と技術 vol28. no.4 p360-361 2000に使用可能なデジカメなどが出ています。顕微鏡写真の撮影が可能な市販のデジタルカメラについてhttp://www.asahi-net.or.jp/~me9k-ogw/kanaria.html当教室では顕微鏡撮影用:FinPixS1 pro、Pixela 150CLマクロ撮影用:Camedia C-2500L 印刷用:EPSON PM-3500Cなどを使用しています。共用機器でピクトロもありますが、最近はほとんど使用していません。40万円程(パソコンを除く)でかなりのシステムが組めますね。FinPixS1 proは一眼レフタイプなのでCマウントで鏡筒に簡単につけられます。また入力時にパソコンが不要なのでいろいろなところに移動して写真が撮れます。据え置き(パソコンが必要 HC2500のようなタイプ)では上記のPixela 150CLが良いですね。本体だけで15万円ほどですが、冷却なしで蛍光写真も撮影可能です。印刷もエプソンのPMシリーズなら決してピクトロに劣りません。(ただし紙はちゃんとしたものを選んで下さい。全然色合いが違います)フィルムの使用もめっきり減りましたが、ハードディスクは満タン状態ですね。1Gもあるが1Gしかないに変わり、今や100G位ないと不安ですね。フィルムの保存にも頭を痛めましたが、デジタルデーターもこの先を考えるとなんらかの対策をとらなければならなくなりそうですね。(でも100T(テラ)のディスクとかできてそのまま放っぽっておきそう。)それから暗室も完全に使わなくなりましたね。(今は物置小屋と化していますね)投稿用写真はやはり印画紙でなければ...という堅物もいなくなり、雑誌もほとんどO.Kですね。逆にデジタルデーターを要求してくるところの方が増えています。昔(今でも)LPからCDに変わっていく際、かたくなにアナログに固執している方々が結構いました。病理などのアナログ写真がデジタル写真に移り変わろうとしている今、CDの時ほどデジタルに対して抵抗感がないような気がします。パソコンの普及などがデジタルに対して寛容にさせたのかな?顕微鏡もコンピューターと一体化をさせ接眼レンズで覗くのではなくモニターで観察するタイプに移行すると予想されます。

返信 当院ではNikon CoolPIX 990を使用しています。顕微鏡写真はこれで充分いけますね。細胞でも大丈夫でしたよ。また、リバーサルスライドをデジカメで直接撮影してデジタル画像にするなんていう荒業もありますよ。これについては、○○さんが詳しいですよ。追伸 この手の情報って大切ですよね。購入時の機種選択などにも参考になりますし・・・。皆さんも手持ちのデジカメを接眼レンズにつけて撮影してみて、結果をアップしてもらえませんでしょうか。ちなみにNikon CoolPIX 880はちょっとあやしいけどOKです。また、FUJI FinPIX 1300?(ズームなし)はだめでした。

返信 当院では Nikon CoolPIX 5000を使用しています。この機種は顕微鏡写真は撮れません。臓器の撮影専用で使用しています。撮影した画像はFileMaker Pro に取り込んでDB化しています。切り出し図もデジカメで複写し臓器の写真と一緒にDBに取り込みます。リバーサルスライドですがNikon CoolPIX 950,990,5000は2cmまでの接写が可能です。スライド複写用KitもNikonからでています。当院では臓器撮影台の透過光を利用して撮影しています。欠点は暗いスライドではカメラのレンズの写り込みがみられます、明るいスライドならOKです。data の buck upはLANでつながったPCのHDDに保存し容量が増えたらCDRに焼いています。出力は三台のプリンターで報告書、切り出し図、標本ラベル等を作製しています。プリンター EPSON 3500C,670C富士通   FMPR375E(ドットイパクト)

返信 これ実際の画像を見せてもらったんですが、なかなか良かったですよね(^_-)まだ、デジタル映像が銀塩の解像度に追従してないので、直接リバーサルフィルムを撮影しても何ら画質の低下は感じられませんね。撮影台を使ってデュープ(?)を作製するなんで、なんとも病理らしくて良いですよね。カメラのレンズの写り込みに関しても工夫すればなんとかならないかな〜?まあ、専用のものが一万円以下で出ているので、それを使ったほうが確実かな

質問 「新染色法のすべて」p136 図2(PAS反応)の表記は間違っていますね。このglucose及びglucosamineでは過ヨウ素酸処理で分断されるC-C結合の特定ができませんね。この場合ピラノースの1,4炭素につくのは-OHでなく-O-でなければならないと思います。私はこの表記をみてなぜ2,3炭素が分断されるのか全くわからなくなってしまいました。大きな意味では間違ってはいないのですが、狭い意味では間違っています。この間違いに気づくのに何冊の本を読んだことか・・・。

返信 つまりおなじページの図1の様な表記が正しいということですかね?元の論文(同じ作者)を見ても同様な記載なので誤植ではないですね。元の論文も他の技術書からの転記のようですが、大元が間違っていたのかあるいは、改変したものか分かりませんね。しかし図1がそのまま引用しているところをみると大元が間違っていたのかな。

返信 ピンポーン。正解です。>元の論文(同じ作者)を見ても同様な記載なので誤植ではないですね。古いメジカルテクノロジの記載かと思います。

ろくに調べもせずに発言してしまいました。

質問 包埋の過程で(自動包埋装置のどこの過程かはわからない、)組織を乾燥させてしまったけど何か助ける方法はないかと電話がありました。とりあえず水まで戻して再包埋してみようかなとのことでした。”ちょっと致命的で救いようがないと思うよ”とやさしくアドバイスをしておきましたが、どなたか良い知恵お持ちではないでしょうか。2-3日後に結果を出さなければいけないので急いでいるそうです。

質問 本メーリングリスト始まって依頼最大の難問ではないでしょうか(>_<)やっぱり、無理ですよね(-_-メ)どこの槽に問題があったのか知りたいですね。でも、知ったところでどうなる訳でもないが・・・。ナメシ皮を薄切・染色するようなものですよね。元に戻すことは不可能なので、乾燥標本がどのような染色性を示すかを頭に入れて鏡検してもらうしかないと思います・・。まず、素直に謝っちゃうことが先決か・・・。あと、どうしてこのようなことが起こったかを究明する必要があるでしょうね。もちろん、個人責任を追及するのではなく、再発防止への対応の一環として調べる必要があると考えます。乾燥標本は過染傾向があるように感じているのですが、どのような染色態度になるのか定かではありません。いったい、乾燥標本はどのような染色性を示すのでしょうか?

返信 ●全く同じ事を答えましたね。”ごめんなさいしちゃった方が早いよ!って”●さすが危機管理ですね。危険がいっぱい病理検査室ですものね。●最近やらかしてないものでうらおぼえですが核が染まらず真っ赤っか(H.E)だったような気が...?。

返信 当院でも、大昔同じようなことがあって、そのときは確か、臨床に連絡して、謝ったと思ったけど…。何事も、絶対ってことはないんだから、よく事情を説明すれば、きっと分かってくれるでしょう…。患者さんには申し訳ないけど…

返信 本当ですね。特に当院は包埋が木製ブロックを使用しているので検体の取違えや混入に関してはかなりうるさくやっています。とにかく確認、確認、確認、確認です。それも一人での確認ではなく多人数で行う。証拠は限りなく保管(デジカメ・コピー等)しておく、前立腺生検は左右色分けする、同じような生検臓器は連番で付番しない、などなど・・・。機器に関するトラブルは、包埋装置を替えてからは減りました。以前はロータリー式を使用していたのですが、各部にアソビがでて包埋カゴを押しつぶしてしまったり、クロロホルム槽ごと移動して、槽は落下、組織は乾燥してしまったり、さんざんでした。危機管理で重要なことは、やはりスタッフ間のコミュニレーションだと思います。些細なことでも、報告できる体制作りが重要ですよね。個人的には、個人を尊重するあまり、その人まかせで作業を行うということは、管理者の怠慢だと思っています。スタッフが安全に作業できる環境を整えていくことが、管理者に課せられた義務の一つであると思っています。