@梅毒とは・・・ |
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梅毒とは、スピロヘータという長さ3〜500μmにおよぶらせん状の細菌で、曲がりくねったり、回転したりして活発な固有運動を営む菌群の一種で、トレポネーマ・パリダム(TP)の感染で発症する。TPは外界での抵抗性はきわめて弱く、自然感染は起こりにくいとされている。TPを含む血液は、4℃、3日間保存により感染力はなくなる。 |
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A主な症状 |
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第一期梅毒(感染〜約3ヶ月) : 感染したところに、盛り上がった赤いしこりができる。しこりは痛み もないので数週間で消えるが、病原体はリンパ節に入り込んで 増殖する。男性では主に亀頭、女性では性器や外陰部にあらわ れる。 第二期梅毒(3ヶ月〜2年) : 症状も激しく、感染力が強い時期。体全体に発疹があらわれ、 発熱、頭痛、だるさなどの症状があらわれる。また、バラの花 びらをまき散らかしたようなバラ疹が全身にあらわれ、あずき大 の赤色の盛り上がった発疹が外陰部や肛門のあたり、顔や手足 に出る。ほかにも、脱毛や白斑、つめの変形、リンパ腺がはれ 扁桃炎になる。 第三期梅毒(2年以降) : 他人への感染力は弱くなり、硬いしこりやゴムのような腫れが出 て、傷あととして残る。また、病原体が骨を侵してくると、激しい痛 みで眠れない日が続く。 第四期梅毒(10年以上) : 皮膚の症状はなくなり、脊髄がおかされた場合は足から激しい刺 すような痛みに襲われたり、しだいに歩行に障害があらわれ、下 半身がマヒ状態になることも。脳が侵されると脳の進行性マヒと なり、判断力がなくなったり、言語が不自由になったり、誇大妄想 になったりと、痴呆独特の症状があらわれてくる。 |
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B感染経路 |
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ほとんどが性行為によって感染するが、皮膚の損害があるとそこに接触するだけで移ることもある。 |
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C感染状況 |
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日本における梅毒患者の推移 |
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梅毒は最近稀だとはいえないまでも、極めて少ないといえる。かつては梅毒といえば『死』を意味した病気であり、性感染症の代表であったが、昭和30年前後には世界的にペニシリンの普及で激減した。 |
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D検査 |
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梅毒の検査には免疫血清学的診断法として梅毒抗体検査が用いられる。梅毒に感染すると、TP菌体組織中の脂質抗原に対する抗体とTP菌体成分に対する抗体と由来の異なった2種類の抗体が産生される。そのため、抗体検査には1)リン脂質(カルジオライピン・レシチン)を抗原に用いるSTS法と2)TP菌体成分を抗原に用いるTP法がある。STS法は梅毒に対しては非特異的反応であるため、梅毒以外の疾患(自己免疫疾患・らい病・結核など)でも陽性を示す偽陽性反応が認められるが、簡便でスクリーニング検査に用いられる。また、梅毒に対する鋭敏度は高く、治療効果の経過観察に適している。一方、TP法は特異性が高く偽陽性が比較的少ない。現状ではSTS法とTP法を組み合わせて診断を行うことが多い。 | ||||||||||||
1)STS法 : 脂質(カルジオライピン・レシチン)を抗原に用いる |
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2)TP法 : TP菌体成分を抗原に用いる
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E治療法 | ||||||||||||
梅毒の治療法は早期の発見と治療が望ましく、第二期の症状のうちに治療することが大切。治療としてはマクロライド・テトラサイクリンなどの抗生物質の服用で菌を殺すが、最も有効とされるのは、ペニシリン治療。2〜3週間の治療で治るとされている。 |